味の素
味の素(あじのもと)は東京都中央区に本社を置く、売上1兆円を超える日本の代表的な食品メーカーです。食品事業だけではなく化粧品事業、アミノ酸生産技術を活用したケミカル事業、医薬事業など幅広く展開し、世界各地にグループ企業や工場を持っています。ここではそんな味の素についてWiki風に紹介しながら、さらにユニークなエピソードを交えて詳しく解説していきます。
基本情報
味の素(Ajinomoto)グループの創業は、アミノ酸を基礎とした調味料の発明から始まりました。1908年(明治41年)、化学者の池田菊苗(いけだ・きくなえ)教授が昆布だしの中からアミノ酸の抽出に成功します。そして日々の食事に手軽に加えられるようにと翌年の1909年(明治42年)にうま味調味料「味の素®」の製造・販売を開始しました。
「美味しく食べて健康づくり」という創業時の志は現在も受け継がれ、事業利益の半分以上は調味料はじめ食品事業が稼ぎ出しています。又、アミノ酸を活かした事業の存在も大きく、医薬品開発などのヘルスケア事業から半導体部品「味の素ビルドアップフィルム®」の製造など様々なビジネスを展開しています。
名称 | 味の素(Ajinomoto) |
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設立 | 1925年(大正14年) |
所在地 | 東京都中央区京橋1丁目15番1号 味の素本社ビル |
代表者 | 藤江太郎(取締役代表執行役社長) |
電話番号 | 03-5250-8111 |
公式サイト |
会社のあゆみ
それでは、その創業100年以上の歴史を振り返ってみましょう。
1907年(明治40年)
鈴木三郎助(すずき・さぶろうすけ)が合資会社「鈴木製薬所」を設立。
1908年(明治41年)
池田菊苗(いけだ・きくなえ)がグルタミン酸ナトリウムの製造法特許取得、「味の素®」の製造を開始。
1909年(明治42年)
「味の素®」の一般販売を開始。
1946年(昭和21年)
現在の社名「味の素株式会社」となる。
1949年(昭和24年)
株式に上場。
1960年(昭和35年)~1978年(昭和53年)
「アジシオ」「ハイミー」「クノールスープ」「ピュアセレクトマヨネーズ」「ほんだし」「Cook Do」など、代表的な製品がこの頃より次々発売される。
1981年(昭和56年)
医薬事業に参入。
1995年(平成7年)
「アミノバイタル」を発売。
1997年(平成9年)
化粧品「Jino®」を発売。
2000年(平成12年)
冷凍食品事業を分社化、「味の素冷凍食品株式会社」を設立。
2002年(平成14年)
「味の素スタジアム」のネーミングライツを取得。
2009年(平成17年)
「味の素ナショナルトレーニングセンター」のネーミングライツを取得。
2014年(平成26年)
京都大学iPS研究所と共同で、iPS/ES細胞用培地「Stem Fit ®」AK03の開発に成功
2016年(平成28年)
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のオフィシャルパートナーに決定。
2024年(令和6年)
本社オフィスを2026年春ごろに、建設中の複合ビル「TODA BUILDING (東京都中央区)」へ移転することを発表。
製品の特徴
食と健康は生きていく上で永遠の課題ですが、味の素では人々の幸福度が上がるようにと、安心・安全を心掛けた商品が多く製造されています。代表的な製品を見てみましょう。
「味の素®」「ハイミー®」「やさしお®」
素材の持ち味を引き出してコクと深みを与え、うま味調味料が全体の味を調和させます。塩を減らしても料理が美味しく仕上がるのはうれしいことです。
「Cook Do®」シリーズ
家庭でシェフの味をが楽しめることが特徴です。中華の「麻婆豆腐」「回鍋肉」、大皿料理の「豚バラ大根」「肉みそキャベツ」など、手軽で本格的な味は幅広い年齢層に人気です。
「さらさら®キャノーラ油」「健康プラス」「健康こめ油」「アマニブレンド油」
食用油も用途に合わせてたくさんのラインナップがあります。さらっとした軽い風味に加え、あらゆる料理を美味しく仕上げます。コレステロールを下げるトクホの油もあり、健康にも考慮されています。
「味の素ギョーザ」「若鶏から揚げ」「コロッケ」などの冷凍食品シリーズ
高度経済成長期から、生活や家庭のあり方、そして食生活に変化が見られました。この時期に冷凍食品も市場に登場し、特にギョーザは今でも人気が高いです。家庭でも手軽に羽根つきのパリパリしたギョーザを作ることができるようになりました。
「パルスイート®」「パルスイート®スリムアップシュガー®」などの甘味料シリーズ
使用量約3分の1で砂糖と同じ甘さで、カロリー90%カット、糖類ゼロの甘味料です。アミノ酸から生まれた美味しい甘さが特徴で、毎日の料理や飲み物、お菓子作りなど幅広く使用することができます。
豆知識
それでは人・社会・地球のウェルビーイング(Well-Being)に貢献する味の素株式会社について、さらに興味深い情報をご紹介します。
なぜ「味の素®」は化学調味料と呼ばれていたの?
きっかけは1960年頃のNHKの料理番組です。番組内では商品名が出せないという事情があったため、味の素®を「化学調味料」という呼び名で使用することになったのが始まりでした。当時は科学万能の時代でもあり、「化学」という言葉には先進的な良いイメージがあったのです。しかし、その言葉はその後公害の発生などもあり、時代とともに次第にネガティブな意味にとらえられることになっていきました。そこで商品の機能を正しく示すために1980年頃から「うま味調味料」という名称に変更されています。
うま味を発見したのは日本人!
元来、味とは「甘味、酸味、塩味、苦味」の4つの要素から成るものと考えられてきました。しかし、この4つの味では説明できない「もう一つの味」が存在することに気付いた化学者がいました。それは、東京大学理学部を卒業後、ドイツに留学し、その後東京大学教授に就任した池田菊苗氏です。「うま味」の発見のヒントは、彼の妻が買ってきた昆布にありました。昆布で取っただしで湯豆腐を食べたとき、だしの味が基本の4つの味とは異なることに気付いたのです。池田氏は昆布からこの味の成分を取り出すために、講義のかたわら日夜研究に励みました。そして、それがグルタミン酸であることを突き止め、この味を「うま味」と名づけたのです。
味の素とあの有名選手の意外な関係?!
トップアスリートの競技力を向上させることを目指し、味の素は国立の施設のネーミングライツを習得しました。それが現在の味の素ナショナルトレーニングセンター(東京都北区)です。今やメジャーリーグで活躍する大谷翔平選手も一時帰国時にはここでトレーニングをしていたそうで、なんと元プロバスケット選手である奥様の真美子さんも同時期、この施設でチーム強化合宿に参加していたことが判明しています。実際、大谷選手が真美子さんと出会ったのは「練習施設」とインタビューで答えていますので、もしかしたら出会いの場はこの「味の素トレセン」だったのでは⁉︎との噂があります。
よくある質問
「味の素®」を使うと塩分の取り過ぎになりませんか?
塩分の主成分である「塩化ナトリウム」は、食塩では約39%含まれているのに対し、「味の素®」は約12%と食塩に比べ使用量は少なくなっています。ですから、適正な使用量であれば取り過ぎにはならないでしょう。
「味の素®」のキャラクターはなぜパンダなのですか?
「味の素®」では「商品を多くの人に知ってもらいたい」という願いからキャラクターを設定しました。多くの人、特に小さな子供たちにも親しまれる商品にしたいという思いで、愛らしいパンダをキャラクターに選んだそうです。
「賞味期限」と「消費期限」の違いは?
「消費期限」は品質の劣化が早い食品に適用され、「賞味期限」は品質の劣化が比較的緩やかな食品に適用されます。味の素株式会社の製品はすべて「賞味期限」が記載されており、通常の保存状態であれば、賞味期限が切れてもすぐに食べられなくなるわけではありません。
工場見学はできますか?
味の素の工場見学は、川崎工場、東海工場、九州工場で行っています。インターネット予約が必要で、安全上の理由により対象年齢は2歳以上となっています。
味の素の化粧品とはどのようなものですか?
味の素は、食品分野での経験を通じて得たアミノ酸の研究を応用し、スキンケアに有効な成分を抽出・開発することで質の高い化粧品をリリースしています。中でも主力ブランド「JINO(ジーノ)」はエイジングケアに優れた商品として人気があり、アットコスメなどの口コミサイトでも高評価を得ています。