歴史的背景
日本で初めて硬貨が登場したのは、徳川幕府が政権を握った1600年のことだ。それまでは、各王朝が流通量の限られた独自の貨幣を鋳造していたため、単一の通貨は存在しなかった。
徳川藩が鉱山、金属加工、造幣局を掌握したことで、日本全国で単一通貨を発行できるようになった。それでも、諸藩の通貨は流通し続けた。民間の造幣局は、200年にわたる江戸時代に約1700種類の貨幣や紙幣を製造した。
この制度が廃止されたのは、日本が新たな時代を迎えた1868年のことである。日本は社会、政治、軍事の各分野で20年にわたる改革の道を歩んだ。その結果、日本は復活し、世界で最も発展した国のひとつとなった。
1869年、円が単一通貨として登場した。藩札の交換はさらに10年間続いた。純銀と純金の硬貨が初めて発行され、日本は金本位制を採用した。次第に硬貨の金の含有量は1.5グラムから0.75グラムに減っていった。第一次世界大戦の前夜、国家通貨と金の固定は取り消された。その後更新されたものの、結局1933年にペッグは消滅した。
銭と厘の端数硬貨は円の小額貨幣となったが、1954年に流通を停止した。銭は円の100分の1、厘は1000分の1であった。
当初、日本の貨幣を発行していたのは日本銀行だけだった。しかし、後に国立銀行の認可を受けたいくつかの民間金融機関がこの権利を得た。
1927年、大規模な危機が発生し、円は最初のインフレに見舞われた。銀行の預金者の間でブームが起こり、銀行家はとんでもない行動に出た。預けたお金を早く返すために、裏面が白紙の200円札を大量に発行したのだ。
第二次世界大戦が始まると、朝鮮、マカオ、タイ、華北といった帝国支配下の国々によって、円の流通は一時的に拡大した。
戦後、為替レートは急落し、1ドル=50円から250円、後には900円にもなった。沖縄のように、円を一切禁止して職業貨幣に切り替えた県もあったし、後に米ドルに切り替えた県もあった。後者は1972年に完全に廃止された。
1949年から1971年まで、円は公式為替レート360対1で米ドルにペッグされていた。1970年代からドルが下落した時期があり、その結果為替レートは大幅に上昇し、336対1、そして308対1となった。その後、レートは変動するようになった。現在、1米ドル=100円である。
1932年以降、大蔵省と日本銀行の2つの組織が円の発行を管理している。
「円」の語源は日本語の「円形」に由来し、「丸い」という意味である。日出ずる国の通貨名は、香港の植民地だった英国が発行した銀貨「香港元」とも関係がある。香港元は、香港を植民地にしていたイギリス人が発行した銀貨で、さまざまな形で日本に入り込み、日本の新しい公式通貨の名称となった。
デザイン
現在、日本で発行されている紙幣は少額である。流通している紙幣は3種類だけで、原則として1,000円、5,000円、10,000円といった大きな額面である。2,000円紙幣が登場したのは2000年。その後、流通は停止されたが、現在でも正規の紙幣として扱われている。
紙幣の幅はすべて同じだが、長さがそれぞれ150mm、156mm、160mmと異なる。
2004年放出シリーズの紙幣は現在流通している:
- 1,000円札は、表面に微生物学者・野口英世の肖像、裏面に日本の主な聖地である富士山と本栖湖畔の桜が描かれた青色の紙幣である。
- 5,000円札は、表面に作家・樋口一葉の肖像、裏面に琳派の日本画家・尾形光琳の花菖蒲を描いた紫色の紙幣である。
- 10,000円札は薄茶色の紙幣で、表面には福沢諭吉の肖像、裏面には平等院の屋根にある2体の銅像のうちの1体である鳳凰が描かれている。
日本では硬貨の流通量がはるかに多い。その額面は1円、5円、10円、50円、100円、500円、1,000円である。5円と50円の硬貨は真ん中に穴が開いている。
デノミネーション、鋳造年、日本語の国名のほかに、それぞれのコインには重要なシンボルが描かれている:
- 1円 - 若木
- 5円 - 稲
- 10円 - 平等院
- 50円 - 菊
- 100円- 桜
- 1,000円- 桐
硬貨はアルミニウム、銅、キュプロニッケルでできている。
2008年から2009年にかけて、日本銀行は全国47都道府県の記念硬貨を2シリーズ発行した。鋳造されたのは500円硬貨1種類のみで、銅、亜鉛、ニッケルの合金でできている。
1,000円硬貨は、日本における重要な出来事を記念して鋳造された。最初のシリーズは1964年のオリンピック前に発行された。その後、2000年代に入ってから記念硬貨が登場した。すでに全部で26種類ある。
世界の中の日本円
この通貨は何十年もの間、通貨基軸リストに載ってきた。現在は、英ポンドとユーロに押され、3位から4位に浮上している。
円の為替レートは急速に変化しており、大きな利益を生み出す魅力的なツールとなっている。