ギャンブラーのタイプ
純粋に娯楽として楽しむ人もいれば、危険な依存症に陥る人もいるというギャンブル。なぜ、同じ遊びなのにこうも差が出てしまうのでしょうか。これは、人によってギャンブルの経験の仕方が異なることが一因となっています。
ここではギャンブラーを6つに分けて、ギャンブル依存症になる可能性に直接影響するタイプ別に考察していきます。
プロフェッショナル型
プロのギャンブラーにとって、ギャンブルは遊びや楽しみのための活動の場ではありません。ギャンブルは職業であり、大事な収入源。代表的な例としては、プロのポーカープレイヤーが挙げられます。確実に利益を得られるポーカープレイヤーになるには、並々ならぬ努力と時間、そして才能が必要です。
プロフェッショナル型は明確な計画と戦略を持って、論理的かつ体系的にギャンブルを行うので、ギャンブル依存症になる可能性はほとんどないといっていいでしょう。
反社会型
プロフェッショナル型と同じように、ギャンブルを金儲けの方法と見なしていますが、このタイプのギャンブラーは利益を得るためには違法行為をも辞さないという傾向があります。目的を達成するためになら法律を破ることも恐れていません。スポーツ賭博で八百長をしたり、テーブルゲームで印のついたカードを使うなどといったイカサマ行為をするのが反社会型の特徴です。
通常、ギャンブル依存症を発症しませんが、違法行為がバレた時などに都合良くギャンブル依存症を口実にして言い逃れるというズルい一面も持ち合わせています。
カジュアル型
友人と一緒にギャンブルをしたりなど、ギャンブルを気軽な娯楽の一種として捉えており、社交の場として、またリラックスの場として利用します。このタイプのプレイヤーにとって、ギャンブルは特にダメージを与えるものではなく、日常生活や仕事にも何も影響を及ぼしません。
他のタイプと比較するとギャンブルに対してバランスのとれた健全な態度を取ることができている、理想的なギャンブラーであると言えるでしょう。
真面目型
カジュアル型と共通する点もありますが、ギャンブルに対しての態度がやや熱心です。ただし、ギャンブルの優先順位は家族、友人、仕事に比べるとまだまだ低いので、社会生活を疎かにするまでは行かず、ギャンブル習慣をコントロールすることができています。
逃避型
退屈、孤独、怒り、憂うつなど、人生のネガティブな部分をどうにかするためにギャンブルを利用しようとするタイプです。ギャンブルをしている時だけは現実逃避ができるので、ギャンブルの習慣が悪化する可能性が高く、最悪の場合、依存症になる可能性もあります。
強迫型
もはや自分のギャンブル習慣がコントロールできないところまできている段階のギャンブラーです。ギャンブルが人生で最も重要なものであり、さらに遊ぶためにはどんな代償や犠牲もいとわないという極限の状態です。ギャンブルはこのタイプのプレイヤーに極めて悪い影響を与えます。
ギャンブル依存症の原因
ギャンブル依存症は単一の要因によって引き起こされるものではありません。強迫観念、欲求などの相互に関連した要因が複雑に絡み合って、引き金が放たれた時に起こります。これらの要因は、生物学的、心理学的、遺伝的、社会的な影響というグループに分けることができます。
今回は、ギャンブル依存症の大部分を占めると言われている「生物学的要因」「心理学的要因」「遺伝的要因」に注目し、この病気の背景にある概念の一部を簡単に説明します。
生物学的要因
依存症の約50%は個人の生物学に基づいており、実際には外部からの刺激に反応して脳が分泌する化学物質に依存しています。脳は新しい刺激に適応し、依存症が進行すると脳への影響がさらに大きくなり、脳の構造にまで変化が生じます。
例えば脳内の化学物質であるセロトニンやドーパミンは気分の浮き沈みに非常に大きく関係しています。「好ましい」と思われる状況が起こると、やる気ホルモンであるドーパミンが分泌されます。反対に、ストレスに対して効能があるセロトニンが少なくなると憂うつな気分になり、セロトニンのレベルの低下が続くとギャンブルでの問題を引き起こしやすくなります。
このような化学物質の増減は、「ハイ」の感覚と「鬱」の感覚を支配しています。気晴らしのためにギャンブルをしている人と問題を抱えている人との間には、こういった脳のホルモンの働きが決定的に違い、それには精神的なものだけではなく、肉体的な達成感が密に関係しています。例えば運動する、睡眠をとるなどといった単純な行為でも、神経伝達物質を再充電できると考えられています。
心理学的要因
依存症は、体と心、そして社会が相互に関連して複雑に絡み合って起こる疾患です。心理学的な見地から単純に分析できるものではなく、別々の心理学の理論(学習、認知、嗜癖、人格、精神分析)から適用可能な真実を認め、それらの間の点をつなぎ合わせていく必要があります。その依存症の背景にある潜在的な理由に基づいて議論されなければなりません。
遺伝的要因
ギャンブル依存症においても遺伝の関係性は指摘されていて、アメリカのミズーリ大学の研究では具体的な遺伝子がすでに見つかっています。現段階では20人に1人はギャンブルに非常にハマりやすく、3人に1人はハマりやすい遺伝を持っているということがわかっており、一度足を踏み外してしまうと、そう簡単に元の状態には戻れません。
併存疾患について
併存疾患とは、ある病気が他の病気と同時に発症している場合に使われる言葉です。ギャンブル依存症の人は精神疾患を合併している場合が多くあり、うつ病、パニック障害などの精神障害、そして他にもアルコール依存症、薬物依存症にかかっている人も多くみられます。
特にアルコールや薬物依存、うつ病といった精神科の病気がギャンブル依存の原因になったり、逆にギャンブル依存がうつ病やアルコールの問題の原因になったりといった形で相互に影響しやすいと考えられています。
併存疾患は自殺などの重大な問題と関連することが指摘されていますので、ギャンブル依存症の人に精神系の病気が見られないかどうかを十分に確認する必要があります。
ギャンブル依存症を助長するカジノの罠
カジノ側は、プレイヤーを遊ばせ続け、できる限り多くのお金を使わせたいと考えています。理想的には、プレイヤーに十分にお金を落とさせて、いったん良い気分で送り出し、また戻って来させてお金を使わせる…商売なのだから当たり前っちゃ当たり前の話です。
プレイヤーが遊んでいる間、いかに夢見心地にさせるのかがカジノの腕の見せ所。ワンクリックで様々なゲームに簡単にアクセスできるようシステムを構築したり、最新のテクノロジーを駆使したゲームを取り揃えて見た目に派手なラインナップを用意、お得感満載の特典、リピーターにはさらなるご褒美を提供。
また、プレイヤーがトップを目指して競い合うようにさせ、ゲームへの意欲を高めるためにリーダーボードを備えたりしているところもあります。遊べば遊ぶほど達成感や満足感をもたらし、一旦ゲームをやめても、またふらふらと舞い戻ってくるように仕向けているのです。
怠惰なまでに快適な空間を作り出し、痒いところに手が届くサービスを惜しみなく披露。オートプレイなんていう機能はプレイした時間、使ったお金、プレイしていた時間に気づかなくさせる最大のトラップです。
知らず知らずのうちに深みにハマり、沼から抜けられなくさせるために、カジノはあの手この手を使い、甘い蜜でプレイヤーを誘惑するのです。
カジノはギャンブル運営のプロ。一般人がどうあがいても打ち勝てる相手ではありません。ギャンブル依存症になってしまった場合は、こういった環境からいったん全て身を引き、遮断してしまわなければズルズルと続けてしまうことになります。
最後に
ギャンブル依存症は、ほとんどの人が考えているよりもはるかに複雑です。複数の要因が組み合わさって、難敵となっています。
ギャンブル依存者を十把一絡げにして扱うことは非常に危険。ギャンブル依存のメカニズムに関する知識普及こそが、今後社会でもっとも優先されるべき事であるとも言えるでしょう。
依存症を「脳の慢性疾患」と定義する人がいます。慢性の病気だから何もなす術がない、と悲観的に考える人もいますが、病気だからこそ快方に向かわせることが可能、と前向きに捉えることができます。
自身や大切な人がギャンブル依存症である可能性があると思われる場合は、今すぐ行動を起こしてください。ギャンブル依存症を克服する方法に関する情報を得たり、ギャンブル依存症支援センターに相談すれば、症状を緩和、治癒に向かわせる効果的な方法が必ず見つかります。