龍安寺(Ryoanji Temple)
龍安寺は、京都市右京区にある臨済宗妙心寺派の禅寺です。室町時代から今日まで、禅の心を表す場所として多くの人に親しまれてきました。その静謐で洗練された空間は多くの人々を魅了し、世界遺産「古都京都の文化財」にも登録され、日本を代表する観光スポットとなっています。ここでは、日本の歴史や建築、美しい庭園文化を一度に味わうことができるのが魅力。まさに、訪れる人に深い感銘を与える場所となっています。本記事では、そんな龍安寺の歴史や魅力、見どころをわかりやすくご紹介します!

基本情報
京都にある龍安寺は、世界中から観光客が訪れる超有名なお寺です。名前を聞いたことがなくても、「白い砂に石が並んだ庭」と言えばピンとくる人も多いのではないでしょうか。そう、ここはあの「石庭」で知られる場所なんです。実は金閣寺と並んで広く知られる名刹でもあります。黄金の三層楼閣「舎利殿」が象徴的で、その輝きから世界的にも京都を代表する寺院として知られています。
龍安寺の3つのポイント
- 世界的に有名な枯山水庭園「石庭」がある
- 世界遺産「古都京都の文化財」に登録されている
- 池をぐるっと散策できる「鏡容池」で四季の風景を楽しめる
✔️ 公式名称 | 大雲山 龍安寺 |
|---|---|
📍 所在地 | 京都府京都市右京区龍安寺御陵下町13 |
🕙 開館時間 | 8:00~17:00(冬季は8:30~16:30) |
❌ 休館日 | 年中無休 |
👨💼 創設者 | 細川勝元 |
📅 創建年 | 1450年 |
🌐 公式HP |
なお、龍安寺は「大雲山 龍安寺(だいうんざん りょうあんじ)」が、正式な寺号です。「大雲山」が山号(さんごう)で、「龍安寺」が寺号(じごう)にあたります。日本の寺院は多くの場合、山号+寺号という形で正式名称を持っています。観光案内などでは一般的に「龍安寺」と呼ばれていますが、公式な場面や格式を重んじる際には「大雲山 龍安寺」と表記されることがあります。
概要

概要
龍安寺の大きな特徴は、とにかく「静かで落ち着いた雰囲気」。余計な飾りを削ぎ落として「シンプル=禅」を体感できる場所です。場所は京都市右京区御陵下町。臨済宗妙心寺派のお寺で、総本山・妙心寺の塔頭のひとつ。創建は1450年で、室町時代の武将・細川勝元が建てたお寺です。初代の住職は、義天玄承(ぎてんげんしょう)というお坊さんでした。境内はなんと東京ドーム5個分くらいの広さがあって、意外と大規模なんですよ!
一番の見どころはもちろん、あの有名な石庭。白砂の上に15個の石が絶妙に置かれていて、「どこから見ても全部の石が見えない」という不思議な仕掛けがあります。世界中から観光だけではなく、研究者や芸術家が訪れる理由はここにあります。それとは対照的に、北側にある鏡容池は自然派。春は桜、夏は睡蓮、秋は紅葉、冬は雪景色と、季節ごとに違った顔を見せてくれるので、散歩するだけで気分がリフレッシュします。
お堂や建物も、龍安寺の外観は派手さを抑えた木造づくりで、白壁と瓦屋根のシンプルさが逆に美しい。1994年にはユネスコの世界文化遺産「古都京都の文化財」のひとつに登録されました。石庭が「世界に誇れる日本の美」だと認められたからです。観光地としてだけじゃなく、龍安寺のご利益は“心のリセット”なのかもしれませんね。
歴史

歴史 龍安寺
龍安寺の歴史を見てみましょう!
平安時代(969〜984年)― 円融寺の始まり
龍安寺の土地には、もともと円融天皇(在位969〜984)の願いによって「円融寺(えんゆうじ)」というお寺が建てられました。皇族ゆかりの寺として大切にされましたが、時代が流れるなかで次第にすたれ、のちの龍安寺につながるきっかけを残しました。
室町時代(1450年)― 細川勝元による創建
室町幕府で大きな力を持っていた細川勝元がこの土地を山荘としてゆずり受けたことが、龍安寺が生まれるきっかけでした。1450年(宝徳2年)、勝元はここに新しい禅寺を建て、「龍安寺」と名づけました。最初の住職(開山)には、臨済宗の僧 義天玄承(ぎてんげんしょう) が招かれました。
応仁の乱と荒廃(1468年)
1467年に始まった応仁の乱は京都の町を大きくこわしました。龍安寺もその影響を受け、1468年(応仁2年)には建物の多くが火事によって失われます。この時、寺は一時的に洛中(らくちゅう)=京都の中心部に拠点をうつしたとも伝えられています。洛中は戦乱のなかでも政治や文化の中心で、人や物が集まりやすい場所でした。龍安寺は荒廃のなかでなんとか寺の活動を続けようとしたのです。
再建と発展(1488年〜)
戦乱から20年ほど後、1488年(長享2年)に勝元の子 細川政元が再建を始めました。四代目の住職 特芳禅傑(とくほうぜんけつ) も力をそえ、1499年(明応8年)には方丈などの建物がととのえられました。この頃に、今も有名な石庭がつくられたと考えられています。
江戸時代(17〜18世紀)― 幕府の保護と文化の繁栄

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江戸時代に入ると龍安寺は徳川幕府や大名たちからの寄進や支援を受け、寺領を広げていきました。文化人も訪れ、茶の湯や作庭といった日本文化の発展と深く関わりました。この頃には「細川家の菩提寺」としての役割も確立し、京都の禅文化を支える重要な拠点となりました。
近世後期(1797年)― 大火の悲劇
1797年(寛政9年)、大火事がおこり、方丈や仏殿をはじめ主要な建物のほとんどがやけてしまいました。石庭や池は残りましたが寺にとって大きな痛手となり、その後の復興が大きな課題となりました。
近代〜昭和(19〜20世紀)― 再建と復興
明治のころは廃仏毀釈(はいぶつきしゃく=寺をこわす運動)の影響を受けましたが、龍安寺は生きのこりました。昭和になると再建が進み、仏殿や方丈などが建て直され、今の姿に近い境内が整えられました。
現代(1994年〜)― 世界遺産登録と国際的評価
1994年(平成6年)、龍安寺はユネスコの世界文化遺産「古都京都の文化財」のひとつに登録されました。石庭は「世界で最も有名な禅庭園」とよばれ、今では国内外から多くの人が訪れる名所となっています。龍安寺の歩みは、今も日本文化の大切な象徴として続いています。
見どころ
見どころ満載の龍安寺の人気スポットを紹介します。石庭や方丈、池庭など、禅の世界を体感できる名所がそろっています。
石庭

石庭
龍安寺の石庭は世界的に名高い枯山水庭園であり、訪れる人の心を静かに揺さぶる存在です。庭は幅約25メートル、奥行き10メートルほどの長方形で、白砂を敷きつめたシンプルな空間に、大小15個の石が絶妙なバランスで配置されています。その並びは「5・2・3・2・3」と区切られており、石の大小や距離感が絶妙に配置されています。
最大の特徴は、どの位置から眺めても必ず1つの石が見えなくなるという仕掛けです。15個すべてを一度に見ることができないこの不思議な構造は、「人生は常に不完全である」という禅の思想を象徴しているとされます。完全を求めず、不完全さの中に美を見いだす日本独自の感性が、この庭に凝縮されています。作者については諸説あり、今なお謎に包まれています。
蹲踞(つくばい)

蹲踞(つくばい)
龍安寺で有名な見どころのひとつに、「知足の蹲踞(つくばい)」があります。これは茶室「蔵六庵(ぞろくあん)」の庭に置かれた石製の手水鉢で、水戸黄門として知られる徳川光圀が寄進したと伝えられています。
このつくばいには四方に文字が刻まれており、「吾唯足知(われただたるをしる)」と読むことができます。この言葉は「足るを知る者は心豊かであり、欲にとらわれる者はいくら富を得ても満たされない」という禅の教えを表しています。まさに、人間の欲望を戒める「知足」の精神を体現したものといえるでしょう。
仏殿

仏殿
竜安寺の仏殿は、1797年(寛政9年)の大火で焼失しましたが、1981年(昭和56年)に約200年ぶりに再建されました。建築には樹齢千年以上の台湾ヒノキが用いられ、屋根は銅板葺きで仕上げられています。内部には釈迦如来像が安置され、堂内に足を踏み入れると、自然と背筋が伸びるような厳かな空気に包まれます。
また、仏殿の周囲は落ち着いた佇まいで、石庭や鏡容池を巡ったあとに訪れると、より一層「静」と「荘厳」の対比を味わうことができます。京都龍安寺を代表するおすすめスポットのひとつであり、石庭と並ぶ見逃せないスポットです。
方丈
龍安寺の方丈(禅宗寺院において長老や住持の私室または、それを含む住屋)は、1606年に織田信景によって建てられました。その後、1797年の大火で焼失しましたが、西源院の方丈を移築することで再建され、現在まで受け継がれています。
かつて内部には狩野派による襖絵が飾られており、寺院内を華やかに彩っていました。しかし、明治時代の廃仏毀釈(仏教施設を壊す運動)の影響で、多くが失われてしまいます。現在は、1953年から狩野勝邑(かつむら)によって新たに描かれた「雲竜図」などが残されており、訪れる人を圧倒します。天井や襖に描かれた龍はまさに迫力満点。荒々しくも気高いその姿は、龍が方丈の空間を自由に舞っているかのような迫力を感じさせます。
鏡容池(きょうようち)

龍安寺 鏡容池
竜安寺の境内の北側に広がる池「鏡容池(きょうようち)」は、平安時代の貴族庭園の名残とされる大きな池で龍安寺のもうひとつの見どころです。形は池泉回遊式庭園で池のまわりをぐるっと散策できるように小道が整えられており、歩くたびに違った景色が目の前に広がります。
この池の魅力は、なんといっても四季折々の表情を見せてくれること。春は桜が咲き、夏には睡蓮が涼やかさを演出。秋には紅葉が一面に広がり、冬には雪化粧をまとった池が幻想的な雰囲気をつくり出します。
その他
龍安寺には数多くの見どころがあります。たとえば、境内にある鐘楼は静かな境内に響く鐘の音が心に残るスポットです。また、勅使門(ちょくしもん)は皇族や勅使が訪れた際に使われた格式高い門で、重厚な造りから当時の威厳を感じ取ることができます。
そして忘れてはならないのが桜の名所としての一面です。春になると境内は華やかな桜に包まれ、訪れる人々の目を楽しませます。特に石庭の静けさと対照的に境内を埋め尽くす桜の光景は圧巻で、多くの観光客がこの龍安寺の桜を目当てに足を運んでいます。
文化財

文化財
龍安寺には、長い歴史の中で育まれてきた多彩な文化財が残されています。建築や庭園はもちろん文献や法衣に至るまで幅広く伝わっており、いずれもお寺の歩みと日本文化の深いつながりを物語っています。ここでは、国の重要文化財等など代表的なものを紹介します。
重要文化財:方丈および附・勅使門(旧西源院方丈から移築された門)
方丈は1606年に西源院で建立されたもので、1797年の大火後に龍安寺へ移築されました。附属する勅使門は、皇族や勅使が来訪した際に使用された門で、寺の格式を示す建物として知られています。これらはいずれも国の重要文化財に指定されています。
重要文化財:太平記古写本12冊
『太平記』の古写本はもともと十三冊揃っていましたが、1929年(昭和4年)の火災で一冊を失い、現在は十二冊が伝わっています。徳川光圀(水戸黄門)が借りたことでも知られ、中世文学の研究に欠かせない資料として評価されています。
国の史跡および特別名勝:龍安寺方丈庭園
龍安寺の石庭は、国の史跡であると同時に特別名勝にも指定されています。その抽象的で簡素な美しさは禅の思想を象徴するものとされ、国内外から高く評価されています。
国の名勝:龍安寺庭園
鏡容池を中心とした境内の庭園は国の名勝に指定されています。池泉回遊式庭園として四季折々の自然を楽しむことができ、石庭と対比的な美を味わえる場所です。
京都府指定有形文化財:義天玄承の九条袈裟
龍安寺の開山である義天玄承が実際に使用したと伝わる九条袈裟は、2016年に京都府の有形文化財に指定されました。禅僧の生活や信仰を伝える貴重な遺品です。
京都市指定有形文化財:細川昭元夫人画像
天正十年(1582年)に描かれたとされる細川昭元夫人の肖像画は、京都市の有形文化財に指定されています。絹に彩色で描かれたこの作品は当時の肖像画の技法をよく伝えるだけでなく、細川家と龍安寺の深い関わりを示す貴重な資料となっています。現在は京都国立博物館に寄託され、保存が図られています。
拝観時間

拝観時間
龍安寺の拝観時間は、3月1日~11月30日は8:00~17:00、12月1日~2月末日は8:30~16:30です。特に朝の時間帯は、静寂が保たれて禅の雰囲気をじっくりと味わうことができるのでおすすめです。
アクセス
龍安寺へのアクセス方法は、電車・バス・車いずれでもOK。観光シーズンは特に周辺道路や駐車場が混雑するため、公共交通機関の利用がおすすめです。
電車でのアクセス

電車でのアクセス
駅からは案内標識が整備されているため、初めて訪れる方でも迷わず到着できます。
- 京福電鉄北野線「龍安寺駅」から徒歩約8分
バスでのアクセス
京都市内各地から市バスが運行しています。
- JR・近鉄「京都駅」からは、市バス50番系統に乗車し「立命館大学前」で下車、そこから徒歩約7分。
- 阪急電鉄「大宮駅」からは、市バス52・55番系統に乗車し「立命館大学前」下車、徒歩約7分。
- 京阪電鉄「三条駅」からは、市バス59番系統に乗車し「龍安寺前」下車すぐ。
車でのアクセス
竜安寺の駐車場は石庭拝観者に限り1時間無料となっています。
- 名神高速「京都南IC」から約40分。
- 龍安寺周辺にはコインパーキングも点在しています。
拝観料
龍安寺の拝観料には、石庭・方丈・庭園の見学が含まれています。
🙍♂️ 大人 | 🧑 高校生 | 👇 小中学生 |
|---|---|---|
600円 | 500円 | 300円 |
※ ご朱印については、受付時間が9:00〜16:00となっており、受付時間外はご朱印帳への記入は行われず、書き置きの一枚ものでの対応となっております。
※ 拝観をせずに朱印のみを希望される場合は、拝観受付にて書き置きの一枚ものを受け取る形になります。
龍安寺についての豆知識

についての豆知識
ここでは、龍安寺にまつわるちょっと面白いトリビアを紹介します。知っていると拝観がもっと楽しくなること間違いなしです。
石庭と「虎の子渡し」の説
龍安寺の石庭にはさまざまな解釈がありますが、そのひとつに「虎の子渡し」という説があります。これは「虎が子どもを連れて川を渡る姿を表している」というもので、石の配置が虎と子どもたちの動きを暗示しているというのです。これは、禅の庭が持つ「答えのない問い」の象徴として紹介されることもあります。見る人によって解釈が異なるため、同じ庭を眺めてもそれぞれが異なる気づきや学びを得られるのです。
エリザベス女王が絶賛した石庭
龍安寺の石庭が世界的に名を広める大きなきっかけとなったのが、イギリスのエリザベス女王の訪問です。昭和50年(1975年)、女王が日本を公式訪問した際に石庭の見学を希望し、その美しさを大絶賛しました。このエピソードは海外メディアでも大きく報じられ、龍安寺の石庭は一躍国際的に知られるようになります。以後、石庭は「ロック・ガーデン」と呼ばれ、世界中から注目される日本庭園の象徴となりました。
日本各地のその他の神社仏閣

日本各地のその他の神社仏閣 明治神宮
京都の龍安寺を訪れたなら、日本各地にある名所もあわせて知っておきたいところです。ここでは、日本文化や信仰を深く体感できる代表的なスポットをいくつか紹介します。
明治神宮(めいじじんぐう)|東京都
東京都渋谷区に位置する明治神宮は、明治天皇と昭憲皇太后をまつる神社です。広大な杜に囲まれた境内は都会の真ん中とは思えないほど静かで、初詣には全国から数百万人が訪れる日本有数の参拝スポットでもあります。外国人観光客にも人気で、伝統文化と近代日本の歴史を感じられる場所です。
出雲大社(いずもたいしゃ)|島根県
「縁結びの神様」として名高い出雲大社は、島根県出雲市にあります。古事記にも登場する日本最古級の神社で、巨大な注連縄(しめなわ)が有名です。神在月(旧暦10月)には全国の神々が集うと伝えられ、神話の世界に触れられる特別な場所として多くの参拝者が訪れます。
貴船神社(きふねじんじゃ)|京都府
京都市左京区の山あいにある貴船神社は、水の神様をまつる古社で、特に縁結びや恋愛成就のご利益で知られています。川沿いに続く参道や朱色の灯籠が並ぶ石段はフォトスポットとしても人気で、夏は川床料理、冬は雪景色と、四季折々の表情を楽しめます。
まとめ
龍安寺は、どの季節に訪れても思わず写真に収めたくなる景色が広がっています。禅の思想を体現するシンプルな石庭と境内の半分を占める鏡容池を中心とした華やかな庭園の、二つの異なる美しさを楽しめるのが大きな魅力。どの季節に訪れても心に残る景色が広がります。観光地として世界的に知られる場所でありながら、日常を忘れて心が落ちつく空間でもあります。ご利益というよりは、「静寂の中で自分と向き合える時間」を得られる場所、といったほうがしっくりくるかもしれません。
よくある質問
龍安寺はどこにありますか?
京都府京都市右京区龍安寺御陵下町13にあります。金閣寺や仁和寺にも近く、観光ルートのひとつとして立ち寄りやすい立地です。
龍安寺の見学にはどのくらい時間が必要ですか?
石庭・方丈・鏡容池を巡るなら1〜2時間程度です。写真や散策を楽しむ人はさらに時間をかけることもあります。
龍安寺はいつ建立されましたか?
室町時代の1450年、細川勝元によって創建されました。
石庭が静かで落ち着くといわれる理由は?
白砂と石だけで構成された極限まで簡素なデザインが、見る人の心を落ち着かせ、瞑想を促すためだと言われています。
龍安寺の魅力はなんですか?
石庭の静けさと、鏡容池を中心とした池泉回遊式庭園の四季の美しさ。二つの庭園を一楽しめる点です。






