金閣寺
修学旅行の定番スポットである金閣寺(きんかくじ)は臨済宗相国寺派(りんざいしゅうしょうこくじは)の禅寺です。正式名称は「鹿苑寺(ろくおんじ)」といいますが、金箔が貼られた三層の舎利殿が美しく印象的なことから、やがてお寺全体で「金閣寺」と呼ばれるようになりました。ここではそんな金閣寺についてWiki風に紹介しながら、さらにユニークなエピソードを交えて詳しく解説していきます。
基本情報
金閣寺(Kiyomizu-dera)は元々、鎌倉時代の公卿、西園寺公経(さいおんじ・きんつね)の別荘を室町幕府三代将軍、足利義満が譲り受け、山荘北山殿を造ったのが始まりとされています。金閣を中心とした庭園や建築は極楽浄土をこの世に表したと言われ、中国との貿易など文化の発展の舞台となりました。義満の死後、遺言により北山殿はお寺となり、義満の法号(戒名のこと)「鹿苑院殿」から二文字をとって「鹿苑寺」となりました。
名称 | 金閣寺(きんかくじ、Kinkaku-ji) |
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所在地 | 京都市北区金閣寺町1 |
創建 | 応永4年(1397年) |
公式サイト |
歴史
金閣寺は古都京都の文化財の一つとして世界遺産に登録された「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン3つ星観光地」にも選ばれています。一度は訪れたいと感じる美しい金閣寺の歴史を見ていきましょう。
1397年(応永4年)
足利義満が別荘北山殿の造営に着手し、舎利殿(金閣)の建設を始める。
1398年(応永5年)
舎利殿(金閣)が完成。
1467年(応仁元年)
応仁の乱により、金閣など一部を残して鹿苑寺が焼失する。
1624年(寛永元年)
臨済宗の僧、鳳林承章(ほうりん・じょうしょう)が庭園や舎利殿の本格的修理を行う。
1904年(明治37年)
舎利殿(金閣)の解体修理が完了。
1950年(昭和25年)
舎利殿(金閣)が修行僧の放火により全焼する(金閣寺放火事件)。
1955年(昭和30年)
1952年からの舎利殿(金閣)再建工事が完了し、創建当時の姿に復元される。
1987年(昭和62年)
1986年からの「昭和大修復」完了。漆の塗替、金箔の張替、天井画の復元などが完了。
1994年(平成6年)
古都京都の文化財の一つとしてユネスコ世界遺産に登録される。
2007年(平成19年)
舎利殿(金閣)境内の方丈の解体修理が完成。
年間イベント
不動堂開扉法要(2月節分) (8月16日)
金閣寺にある不動堂には弘法大師作と伝えられる不動明王が秘仏(信仰上の理由により非公開とされている仏像のこと)として祀られており、普段は非公開です。ただ、2月の節分と8月の大文字送り火の日のみ特別開帳と法要が行われ、法要の前後には一般の人も堂内を参拝することができます。
不動堂火焚き(11月28日)
大護摩供奉修(おおごまくぼうしゅう)と言われ、山伏が参拝者が書いた願いの護摩木を焚き上げる法要です。山伏や住職が法螺貝を吹きながら総門から現われてお経やいくつかの作法の後、護摩壇に火が点けられます。大勢の観光客に見守られながら護摩木が次々に放り込まれていきます。
豆知識
それでは金閣寺に関する興味深いお話をご紹介します。
鏡湖池に込められているものとは?
金閣寺の目の前に広がる湖畔には、有名な「鏡湖池(きょうこち)」と名づけられた池があります。文字通り、鏡のように美しく金閣寺が反射するように水面に映し出され、「逆さ金閣」という呼称でお馴染みです。この鏡湖池は浄土世界にある七宝の池を模して造られたと言われています。その七宝の池の水は八つの功徳を持っていると考えられており、甘い、冷たい、柔らかい、軽い、清らか、くさくない、飲む時にのどを傷めない、飲む時にお腹をこわさない、という言い伝えがあります。心穏やかで平穏な暮らしを象徴するような美しい池です。
金閣寺の金箔量と値段は衝撃的?
放火による焼失後、金閣寺は1955年(昭和30年)に2kgの金箔を使用して再建されました。その32年後、日本がバブル期にあった1987年(昭和62年)には、「昭和の大改修」と銘打って、一気に20kgもの金箔が使用されます。さらに、20年後の2003年(平成15年)の大改修でも同じく20kgの金箔が使われました。気になる費用についてですが、金の価値は時代の相場によって変動するものの、いずれの時期においても当時としては破格の値段でした。1955年の再建費用は、政府の補助や寄付によって約3000万円で賄われ、バブル期の1987年には約7億4000万円もの改修費がかかっています。そのため、金箔の費用だけでも1955年でおおよそ1000万円以上、バブル期には約2億6000万円以上だったと推定されます。
世界遺産だけど国宝からは外れた?
金閣寺はその美しい姿と歴史的価値から世界遺産に登録されており、日本を代表する文化財の一つとして広く知られています。しかし意外なことに、舎利殿も含めて国宝には登録されていません。実は、1929年には国宝に指定されていましたが、1950年の放火事件で舎利殿が焼失したため、その認定が解除されました。その後、当時の姿に復元されたものの、国宝の地位を取り戻すには至っていません。現在の舎利殿は1955年に戦後修復されたものであり、歴史的な価値が薄いため、国宝として認定されていないとのことです。
アクセス方法
金閣寺へは電車の最寄り駅が近くにありませんので市バスが便利です。
車の場合はお寺の有料駐車場が数か所と、民間の駐車場があり。
JR京都駅から
京都市営バス205系統に乗り「金閣寺道」で下車徒歩約2分
JR円町駅(嵯峨野線)から
京都市営バス204系統、205系統に乗り「金閣寺道」で下車徒歩約2分
地下鉄北大路駅(烏丸線)から
京都市営バス204系統、205系統に乗り「金閣寺道」で下車徒歩約2分
周辺グルメ
京都のグルメは上品なお味とともに写真映えするものも多く、雰囲気あるシーンとともに楽しめます。カフェ、ランチ、ディナーと見逃せないお店も周辺にたくさん!その一部をご紹介します。
茶席でお抹茶を楽しみたいなら
「不動釜茶所」の「お抹茶(お菓子付)」(500円)
境内出口近くの「夕佳亭(せっかてい)」という茶室を過ぎると赤毛氈(もうせん)の茶席があります。外の席でも中の畳席でもいただけます。きめ細やかな泡のお抹茶は飲みやすく、お菓子は和三盆の白い楽雁(らくがん)。金の粉がのっている上品な金閣寺だけのお菓子です。
住所:京都市北区金閣寺町1
電話: (075)-461-0013
金閣寺店限定!京都名物を堪能できるおすすめ御膳
「京都 権太呂」の「ゆばあんかけそば御膳」(2300円)
京都に来たなら湯葉を食べたい方も多いのではないでしょうか。銀閣寺店限定のこの御膳は、鶏肉、たけのこ、しいたけ、かまぼこが大きな生湯葉で包まれ、上には優しい味のとろとろのあんがかけられた見た目もほっとするような一品。出汁の味と自家製麺のそばの歯ごたえが絶妙です。
住所:京都市北区平野宮敷町26
電話: (075)-463-1039
あこがれの町屋で新感覚のフレンチを
「京都 喜shin」の「京懐石フレンチコース」(6820円)
京町屋をまるまる一棟改装した店内はアンティークな雰囲気いっぱいの空間です。2階の半個室のテーブル席からは金閣寺方面が眺められます。有名ホテルで総料理長をしていたシェフによる、京野菜や旬の食材を使用した京懐石コースは一品一品が鮮やかで、味はもちろん五感が喜ぶ料理です。
住所:京都市北区衣笠西御所ノ内町37
電話: (075)-432-7734
よくある質問
舎利殿はなぜ金色?なぜ金箔を貼ったのですか?
諸説ありますが、現在のところ通説とされているのは、金閣寺を建てた足利義満が貴族社会に成り代わり、武家社会の台頭を誇示するために金箔を舎利殿に貼ったということです。いわば、権力や権威のアピールのためです。また、金は雨に強く変色変形しにくいため年月を経ても姿を保つことから、「永遠」「不老不死」の象徴として捉えられたという説もあります。
金閣寺のバリアフリー対応について教えて下さい。
舎利殿のすぐそばまでは大きな段差はなく、参拝可能です。ただし、境内庭園は約600年前の庭園を保全しているため、バリアフリー対応はされていません。お手洗いには多目的トイレがあります。また、車椅子の貸出も行っていますが予約はできませんので、当日空きがあればご利用いただけます。
金閣寺の拝観料はいくらですか?
一般料金は大人・高校生400円、小中学生300円、障害者割引は大人・高校生300円、小中学生は無料です(身障者手帳の提示要)。
金閣寺のおすすめ観光シーズンを教えて下さい。
四季折々の景色を楽しめる金閣寺ですが、秋と冬が特におすすめです。秋には紅葉と黄金色の「金閣」と「鏡湖池」で赤と黄色のコントラストが絵画のように美しく彩られます。冬は雪化粧した金閣寺と境内が幻想的な世界を繰り広げます。積雪情報はお寺のライブカメラ映像の配信がありますので参考にして下さい。
金閣寺を舞台にした小説や舞台はありますか?
有名なものは三島由紀夫の代表作「金閣寺」です。1950年の放火事件を題材にした長編小説で、名実ともに日本文学の代表的作家の地位を築いた作品となりました。あとは「炎上」(市川崑監督)や「金閣寺」(高林陽一監督)などの映画、そしてベルリン・ドイツ・オペラ委嘱作品によるオペラ「金閣寺」(黛敏郎作曲)、舞台劇「金閣寺」(宮本亜門監督)など、まさに「金」の名にふさわしい多くの名作や名演が生み出されています。