場所

出雲大社

出雲大社いずもたいしゃ)は島根県出雲市にある縁結びの神、福の神として名高く神無月に全国の神様が集結するといわれている神社です。そのような「神々が集う、大いなる社」として国内外から毎年多くの参拝者が訪れる出雲大社についてWiki風に紹介しながら、さらにユニークなエピソードを交えて詳しく解説していきます。

山本 光代

目次
Izumo-taisha

基本情報

出雲大社Izumo-taisha)は正式には「いづもおおやしろ」と読み、日本最古の歴史書といわれる「古事記」に創建の理由が記されています。主祭神のだいこく様として名高い「大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)」が天照大神(あまてらすおおみかみ)に国を譲られた時、その時に作った壮大な宮殿が出雲大社の始まりといわれています。明治初期までは「杵築大社(きづきたいしゃ)」と呼ばれていました。

境内には60羽ものウサギの石像があります。大国主大神が因幡の国に赴かれている途中、赤裸となって苦しみ悩んでいたウサギに出会い、治療して助けてあげたという神話「因幡の白兎」を元に、大国主大神とともに祀られています。白ウサギは救われたことに感謝し、大国主大神と八上姫を仲を取り持った後に2人は結ばれたことから、この神社が縁結びの神様といわれる理由の一つでもあります。(諸説あり)

名称

出雲大社(いずもたいしゃ / いづもおおやしろ)

所在地

島根県出雲市大社町杵築195

創建

大化(645年)から天武朝(673~686年)にかけて

公式サイト

izumooyashiro.or.jp

歴史

御遷宮の歴史

出雲大社-明治の御遷宮

写真は izumooyashiro.or.jp より

神話のふるさと出雲の象徴であり、数千年の歴史を漂わせる荘厳な空気の出雲大社は正に「美しい日本」それではその出雲大社の歴史を見ていきましょう。

  • 創建

    日本最古の歴史書「古事記」(712年)「日本書紀」(720年)によれば、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)の国譲りに際して造られた壮大な宮殿が出雲大社の始まりと伝えられています。「出雲国風土記」(733年)には、大国主大神のために大勢の神々が集まって宮を寸付(きづ)いたと記されており、「杵築(きづき)大社」と呼ばれました。少なくとも8世紀には大きな社が建てられたといわれています。現在の本殿は1744年(延亨元年)の建立で、3年半の歳月を要して完成しました。高さは24m、神社建築としては国内最大級です。1871年(明治4年)に出雲大社と改称されました。同じく1871年には近代社格制度にて官幣大社(かんべいたいしゃ、神社のランク付けにおいて一番上の格のこと)に位置づけされました。1952年(昭和27年)には国宝に認定されています。

  • 遷宮の歴史

    遷宮とは神社において何年ごとかに年度を区切り、ご神体を本殿からいったん仮殿に移し、本殿を改修(保存修理)してから元に戻すことです。出雲大社の遷宮は江戸時代初期の1609年からほぼ60年に一度行われてきました1744年の造営遷宮にて現在の本殿が建てられます。それ以降1809年(文化6年)、1881年(明治14年)、1953年(昭和28年)に行い本殿をはじめとする諸社殿の修理がなされ、神が君臨した時代を再現します。そして2008年(平成20年)には「平成の大遷宮」が始まり、5年にわたって本殿の大屋根の補修工事や装飾の修復が施されました。縁結びの神様は伝統を残しつつ現代の匠の技によって蘇ります。そして2013年(平成25年)5月10日、大国主大神様を御仮殿から御本殿へと御遷座(せんざ)申し上げる「本殿遷座祭」で大遷宮のクライマックスを迎えます。遷座祭には三笠宮彬子女王殿下、高円宮典子女王殿下(当時)のご臨席を賜り、また全国から約12,000名に及ぶ大勢の奉拝者が訪れ、境内の奉拝席はわずかな余地もないほどに埋め尽くされました。

施設

出雲大社の広い境内には、大社ならではの社や施設が多くあります。その一部を紹介しましょう。

  • 本殿 

    天下無双の大廈(二つと同じものが無い壮大な神殿)」と称えられています。

    本殿 

    本殿 

    写真は discoverjapan-web.com より
  • 拝殿

    参拝者の御祈祷や新嘗祭など様々な奉納行事が行われる所です。

  • 庁舎(ちょうのや)

    祭事を始め社務を執り行う所です。 

  • 神楽殿(かぐらでん)

    大注連縄でお馴染み、結婚式など様々な祭事を行う所です

  • 素鵞社(そがのやしろ)

    スサノヲノミコトが祀られ、パワースポットとして有名です。

  • 千家國造館(せんげこくぞうかん)

    出雲国造家の千家(せんげ)氏の住居です。

  • 教務本庁 

    おくにがえり会館」とも呼ばれ、2階では結婚式も行うことができます。

年間イベント

神話のふるさと出雲を象徴する出雲大社には、1年で実に70ほどにも及ぶたくさんの年間行事・祭典があります。その中から主なイベントを紹介します。

  • 福迎祭(ふくむかえさい)1月3日

    午前1時より行われ、その年の福をお迎えするお祭りです。授与される福柴(ふくしば)、福萱(ふくかや)を受け取るため夕方まで大勢の参拝者が訪れます。

  • 大祭礼(だいさいれい)5月14日~16日

    天皇陛下の御幣物を奉る~ 出雲大社大祭礼

    天皇陛下の御幣物を奉る~ 出雲大社大祭礼

    写真は izumooyashiro.or.jp より

    1年のうち最も大きな祭りです。天皇陛下の使いが贈り物の五色の絹織物などを納めた箱を担いで本殿に向かいます。この祭りのみ神職は正服を着装し奉仕します。

  • 涼殿祭(すずみどのまつり)6月1日

    本殿の東方300m位の涼殿の地で行われます。路上に真菰(まこも、イネ科の多年草)をしいて宮司が踏み進んだのち、氏子が持ち帰って飲むと腹痛に効くといいます。

  • 神幸祭(じんこうさい)8月14日

    身逃げ神事」ともいわれ、宮司ではなく神職ナンバー3の禰宜(ねぎ)が行います。大国主の御神霊を神職の体に下ろし町内を巡る、この間は誰かに見られてはいけない、というもの。

  • 神在祭(かみありさい)旧暦10月11日~17日

    この月は「神無月」ですが、出雲地方のみ「神在月」で全国の神々がここに集まり、男女の縁組などについて会議などをする、といわれています。

  • 献穀祭(けんこくさい)11月22日~23日

    この年の農作物の収穫を神に供え、豊作を祝う「新嘗祭(にいなめさい)」が行われます。そして米、野菜、畜牛の品評会などの行事もあり、大勢の人で賑わいます。

豆知識

Izumo-taisha

出雲大社

写真は izumooyashiro.or.jp より

それでは出雲大社に関する興味深いお話をご紹介します。

大注連縄(おおしめなわ)のヒミツ?

出雲大社といえば真っ先に思い浮かぶのは巨大な注連縄(しめなわ)ではないでしょうか。写真や本で一度は見たことがあるであろう大きな注連縄のある場所が本殿と思いきや、実はこれは本殿ではなく「神楽殿」の注連縄です。本殿の注連縄は長さ6.5m、神楽殿のものは長さ13.5m、どちらも写真映えする大きさになっています。一般的に注連縄は神様に向かって右方を上位にしてまとめられていますが、出雲大社では古来よりその逆、左方を上位、右方を下位にして綯う習わしがあり、それは「大黒締め」と呼ばれています。

出雲大社は参拝方法が他と少し違う?

神社で参拝をする時は一般的に「二礼・二拍手・一礼」です。しかし出雲大社では「二礼・四拍手・一礼」他とは違って「四拍手」となっています。理由は複数の説があり、①東西南北を守護とされる四神に対しての敬意、②四季を表し、実りと繁栄を祈願するため、③幸せのシ(四)を意味し幸福が訪れるように、などといわれています。そして実は出雲大社は「八拍手」が正式ともいわれ、5月14日の大祭礼、最も重要な祭祀の時は「二礼・八拍手・一礼」で行われています。それ以外は略式化されて半分の四拍手ということです。

アクセス方法

境外図

出雲大社 境外図

写真は izumooyashiro.or.jp より

出雲大社への行き方は以下の通りです。

  • 電車の場合

    JR出雲市駅に隣接する電鉄出雲市駅より一畑電鉄大社線

    川跡駅経由(乗り換え)で出雲大社前駅下車

  • バスの場合

    JR出雲市駅から一畑(いちばた)バスで出雲大社連絡所行き又は日御碕行きで約25分

    東京、渋谷より一畑バスと中国JRバスによる夜間高速バス「スサノオ号」も運行

  • 車の場合

    山陰自動車道・出雲IC下車から県道337号線を経て国道431号線を道なりに直進

周辺グルメ

出雲は「神の国」といわれる一方で「食の国」としても知られています。地元の名産・名物品も多くあり、観光だけでなく食の楽しみも尽きません。その中から厳選して地元グルメをご紹介します。

出雲随一の郷土料理といえば

  • 「出雲 砂屋-SUNAYA-」の「割子そば」(3段 1020円~)

    出雲大社で唯一の十割蕎麦専門店です。蕎麦の実を殻ごと挽いた「焼きぐるみ」のそば粉で打つ色の濃いお蕎麦は、もっちりとした弾力のある食感が特徴です。うるめいわしを使った濃厚なダシに、風味豊かでコシの強い蕎麦が見事にマッチします。まるでカフェのようなおしゃれな内装も居心地抜群です。

    住所:出雲市大社町杵築南772 2F

    電話: (0853)-27-9006

代々伝わる伝統食を堪能するなら

  • 「福乃和」の「うず煮膳」(1100円)

    「うず煮」は、出雲の豪族で代々受け継がれてきた、ふぐを使った特別なおもてなし料理です。ごはんの下にとろみのついたふぐのだし、ふぐの身、皮、かんぴょう、しいたけがあり、上にのっている三つ葉、ワサビ干しのりと混ぜ合わせながら食べます。やさしくて上品なこのうず煮はお土産コーナーでも購入できます。

    住所:出雲市大社町杵築南神門前780-9

    電話: (0853)-53-0510

出雲発祥のおぜんざいに舌つづみ

  • 「くつろぎ和かふぇ 甘右衛門」の「出雲ぜんざい」(773円)

    旧暦10月の「神在祭」にてふるまわれた「神在(じんざい)餅」そのじんざいが出雲弁で訛り「ぜんざい」と伝わったといわれています。風味、コシ、伸びが抜群の奥出雲仁多餅を使用した甘いおぜんざいは、ほっとする出雲名物スイーツです。

    住所:出雲市大社町杵築南839-1

    電話: (0853)-25-8120

日本にある他の有名な神社

  • 伊勢神宮(三重県) 

    正式には「神宮」といい、一般には「お伊勢さん」と親しく呼ばれています。ご祭神は天照大御神で皇室の御祖先であり、国民の総氏神のように崇められている神社です

  • 明治神宮(東京都)

    明治天皇と昭憲皇太后を祀る神社。都心にもかかわらず70万㎡を誇る広大な敷地は圧巻です。お正月には日本一の参拝者があり、大相撲の奉納土俵入りなど行事も盛んです。

  • 伏見稲荷大社(京都府)

    お稲荷さん」として親しまれ、美しい朱色の千本鳥居が連なる参道が有名です。商売繁盛や交通安全などの神様として信仰を集め、パワースポットとして多くの参拝者が訪れます。

  • 厳島神社(広島県)

    宮島にある世界遺産に登録された神社。平安期の寝殿造りを神社建築に応用し、長い回廊が特徴です。海の中に立つ朱色の大鳥居も美しく、潮が満ちてくると社殿が海に浮かんだように見えて幻想的です。

よくある質問

出雲大社はいつ創建されましたか?

諸説ありますが、雲国造氏が神郡である意宇郡の郡司と神官司を兼ねるようになった、大化(645年)から天武朝(673〜686年)にかけての期間といわれています。

出雲大社での縁結びとは何ですか?

一般に「縁結び」とは男女のご縁と言われますが、出雲大社ではすべての人々を取り巻くあらゆる繋がりのご縁を指し、広く人々の幸せとご縁を結んでくれるものです。

出雲大社の参拝可能時間は?

午前6時から午後8時までです。ただ、ご本堂より北は午後4時30分までしか行けません。

出雲大社の近くに駐車場はありますか?

出雲大社に隣接した無料駐車場(385台駐車可能)や周辺にも複数の駐車場があります。

出雲大社には何人の宮司がいますか?

宮司は1人です。多くの神職が奉仕しておりますが、「宮司」と呼ばれるのは1名のみで、他は権宮司(ごんぐうじ)禰宜(ねぎ)権禰宜(ごんねぎ)主典(しゅてん)出仕(しゅっし)という身分で奉仕しています。

出雲大社で結婚式はできますか?

神楽殿とおくにがえり会館2階の2か所で行っています。詳細は公式ホームページをご確認ください。