姫路城
姫路城(ひめじじょう)は兵庫県姫路市にある日本のお城です。白く美しい姿から「白鷺城(しらさぎじょう)」とも呼ばれ、日本三大名城(名古屋城、大阪城、江戸城など諸説あり)の一つとしても知られています。そんなお城の魅力がすべて詰まった姫路城ついてWiki風に紹介しながら、さらにユニークなエピソードを交えて詳しく解説していきます。
基本情報
姫路城は外観の美しさとともに桜・紅葉の名所としても知られており、観光シーズンには国内外より大勢の人が訪れます。特に敷地内に咲き誇る約1000本の桜は白いお城とのコントラストが美しいことで有名です。
国宝にも指定されている五重七階の大天守閣は、敵の侵略を阻むために考えられた城郭建築であり、内部の見学も可能です。又、お城に隣接する広大な「好古園(こうこえん)」は江戸の情緒を醸し出す日本庭園で、お城と共に四季折々のシーンを満喫することが出来ます。
名称 | 姫路城(ひめじじょう)別名・白鷺城(しらさぎじょう) |
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所在地 | 姫路市本町68番地 |
創建 | 1346年(正平元年・貞和2年) |
公式サイト |
特徴
姫路城とは現在の姫路市街の北側にある姫山を中心に築かれた平山城(平野、丘陵に築かれた城のこと)であり、江戸時代以前に建設された天守が残る現存12天守の一つです。築城以来大きな戦災を受けず、大天守や小天守、櫓などおおよそ100棟近くの建築物が現存していることから「不戦・不滅の城」と呼ばれています。全体が螺旋(らせん)状の縄張りになっており、内曲輪、中曲輪、外曲輪に分かれ、すべてを合わせるとその面積は約233ヘクタール。実に甲子園球場の約60倍の広さに相当します。
又、精巧に考えられた防御設備も秀逸です。考えられた城壁には狭間(さま)という射撃用の窓が総数997個残っており、開口部の内側と外側に角度を付けることで敵を狙いやすく、敵には狙われにくくしています。さらに天守の壁に隠された隠狭間門や、壁の中に仕込まれた石落としなど、優美な姿の中にも常に防御を考え作られました。そして大天守と小天守を繋ぐ渡櫓、小天守同士を繋ぐ渡櫓の各廊下には頑丈な扉が設けられ、大天守、小天守それぞれ独自に敵を防ぎ、籠城できるようになっています。
歴史
現存する多くの建物が国宝や重要文化財に指定されている、そんな姫路城の歴史を見ていきましょう。
1346年(正平元年)
赤松貞範が姫山に本格的な城を築く。
1467年(応仁元年)
応仁の乱が起こる。赤松政則が姫路城を陥落し領国を回復。本丸、鶴見丸を築く。
1580年(天正8年)
豊臣秀吉の中国侵略のため、黒田氏から城を献上される。3層の天守閣を築き翌年完成。
1601年(慶長6年)
池田輝政が城の大改革を始め、翌年に5重7階の連立式天守が完成。
1869年(明治2年)
酒井忠邦が版籍を奉還し、姫路城は国有になる。
1931年(昭和6年)
姫路城天守閣が国宝に指定される。
1956年(昭和31年)
天守閣の解体修理を国費により8年計画で行う。(昭和の大修理)
1993年(平成5年)
ユネスコの世界文化遺産に登録される。
2009年(平成21年)
大天守閣保存修理工事着工(平成の大修理)。
2015年(平成27年)
5年半の修復を終え姫路城グランドオープン。
2023年(令和5年)
世界遺産登録30周年。
見どころ
世界中のファンが訪れる広大な姫路城。主なスポットの見どころをご紹介します。
本丸
標高約45.6mの山頂にあります。天守のある天守丸は、5重6階、地下1階の計7階の構造で、内部には高さ約24.6m、太さ約95mの心柱が東西に2本、地下から最上階の床下まで貫き、建物を支えています。
菱の門
姫路城の最初にして最大の門で、二の丸へ通ずる入り口を固める櫓門です。外敵からの侵入を防ぐため、門には色々な工夫が凝らされています。例えば門は「枡形虎口」(ますがたこぐち)と呼ばれる型を採用。なだらかな勾配と通路を左や右に進ませることで、攻撃の勢いを削ぎます
西の丸/化粧櫓
西の丸には徳川家康の孫、千姫にゆかりのある化粧櫓(やぐら)があります。7歳で豊臣秀頼に嫁いだ千姫は19歳で夫を失うことになりますが、本多忠刻と出会い再婚します。その際に千姫の居室として化粧料10万石で化粧櫓が与えられました。
西の丸/長局
西の丸を囲むように築かれた長屋で、その長さは約300m。廊下に面していくつも並ぶ小さな部屋には、千姫の侍女たちが住んでいました。また千姫は毎朝、この廊下から本多家の繁栄を願い、男山の中腹に建てられた社(男山千姫天満宮)を遥拝したと言われています。
帯の櫓
姫路城内で、もっとも高い石垣の上に建てられた櫓で、高さは約23mです。当時、南側の数寄屋風の長屋1棟だった場所に、北・東側と物見櫓を増設したため、平面はコの字型になっています。
二の丸
姫山の中腹にあり、山の高低差を利用して、三国堀曲輪や上山里曲輪など多くの曲輪が設けられています。外敵が侵入しにくいように曲輪は土塀で囲われ、周辺にはいくつもの櫓や門が設置されています。それらはいずれも重要文化財となっています。
三の丸
姫路城の桜門をくぐってすぐの視界に広がるエリア。藩主たちが迎賓館や庭園を設け生活をしていましたが明治初期以降取り壊され、現在は三の丸広場として人々の集いの場となっています。西側には千姫の別宅があり、現在は「千姫ぼたん園」として親しまれています。
お菊井戸
姫路城にまつわる怪談話「播州皿屋敷」として有名です。女中のお菊が無実の罪で責め殺されて、その遺体を井戸の中へ投げ込まれてしまいます。以来、井戸からは、夜な夜な皿を数えるお菊の悲しげな声が聞こえるようになりました。そのお菊が投げ込まれた井戸です。
好古園
姫路城西側の武家屋敷跡地に造られた日本庭園です。四季折々の風情を楽しむことが出来る名所として、多くの観光客が訪れます。庭園の総面積はなんと約1万坪(3.5ヘクタール)。江戸時代の建築を再現した庭園は、映画や時代劇のロケ地にも選ばれました。
姫山公園
姫路城の北側にある大きな公園です。公園のどこからでもお城がきれいに見え、より一層姫路城の雄大さを感じることができます。桜やツツジ、紅葉、楓など四季折々の植物も楽しめることができ、落ち着いた雰囲気が特徴です。
エンターテイメント
白鷺が羽を広げたように優美に見えるその姿から「白鷺城(しらさぎじょう)」とも呼ばれ、歴史的価値、芸術的価値とともに世界でも評価されている姫路城。観光名所としてのみならず、姫路城は昔から多岐に渡る分野で登場しています。姫路フィルムコミッションの活動によって国内外の映画やドラマのロケーションも多数行われており、主なものにはジェームス・ボンドの「007は2度死ぬ」(1967年)黒澤明監督の「影武者」(1980年)「乱」(1985年)などの有名作品があります。又、ビデオゲームの「シヴィライゼーション・レボリューション」(世界で人気の文明育成ストラテジーゲーム)にも姫路城が登場。2023年には世界遺産登録30周年を記念して姫路城のLEGO®ブロックが発売になり、白亜の名城がレゴブロックでリアルに再現されており話題を呼びました。
伝説
姫路城には数々の伝説や逸話があります。さらに観光が楽しくなる、そんな伝説の一部をご紹介します。
お菊井戸
女中のお菊がお皿を無くしたと家臣から因縁をつけられ殺害、死体が古井戸に捨てられてしまいました。以来その井戸から夜な夜なお菊が「お皿が1枚、2枚・・・」と皿を数える悲しい声が聞こえたという「播州皿屋敷」物語の井戸だといわれています。
榊原騒動
姫路城城主、榊原政岑(さかきばら・まさみね)は信仰心に厚く心豊かな城主でしたが、一風変わった殿様でもありました。将軍吉宗の倹約令を無視し派手ないで立ちや遊興に溺れ、20代の若さで隠居を命じられた後に越後高田へ配置換えとなります。
棟梁・桜井源兵衛の死
江戸時代の大工の棟梁で天守の建設を指揮しました。しかし、完成した天守はわずかに傾いており、それを妻に指摘され、自分の設計ミスと思った源兵衛は工具の鑿(のみ)をくわえて天守の上から身を投げて死亡しました。実は実際の原因は地盤沈下だったということです。
姥が石
秀吉が三層の天守を築いていたときのこと、城の石垣の石がなかなか集まらず苦労しました。城下で焼餅を売っていた貧しい老婆がそれを聞き、古くなった石臼を差し出しました。秀吉は大変喜び、そしてその後人々が競って石を寄進し、工事が順調に進んだといわれています。
お夏・清十郎
造り酒屋の息子清十郎と、奉公先であった米問屋の娘、お夏。恋仲になるものの、2人の恋は許されず駆け落ちをすることに。しかし、捕らえられてしまい、清十郎は25歳という若さで処刑されることに。お夏も悲しみのあまり発狂し街をさまよい歩きます。悲劇の2人の霊を慰める比翼塚が近くの慶雲寺(けいうんじ)にあります。
アクセス方法
姫路城への行き方は以下の通りです。
電車の場合
JR山陽本線・JR播但線・JR姫新線「姫路駅」山陽出口〜入城口 徒歩16分
山陽電鉄本線「山陽姫路駅」山陽出口〜入城口 徒歩16分
電車とバスの場合
JR姫路駅北口から神姫バス乗車「大手門前」下車、徒歩5分
車の場合
中国自動車道福崎I.Cから播但連絡自動車道で砥堀ランプより約15分
山陽自動車道 姫路東I.Cから播但連絡自動車道で花田I.Cより約15分
阪神高速・姫路バイパス中地ランプより約15分
チケット
大人(18歳~): 1000円、小学生~高校生: 300円、未就学児 : 無料
障害者手帳所持者と介助人1名 : 無料(障害者手帳の原本要)
豆知識
姫路城に関する興味深いお話をご紹介します。
天守の知られざる構造と隠された秘密
天守(お城の中心となる場所に建てられた櫓、見晴らし台、建築物のこと)は外からは5重に見えますが、実は内部は地上6階、地下1階の7階建てになっているのです。外からみて上から2番目の4重目が4階と5階に分かれています。なぜこのような造りになっているかというと、外から攻めてきた敵たちが外と中の造りが違うことによって戸惑ったり混乱するように、防御の城として巧みな仕掛けをしてあるのです。又天守内は薄暗く見通しも悪くなっていますが、これも外敵の足を止めるために考えられたものです。細部に渡り有事への対応を考えた、最高傑作のお城だということがよくわかります。
姫路城を23円で買った人がいる?
なんと!姫路城が競売に出されていたことがあるのをご存知でしょうか。売られていたのは明治時代だそうです。江戸幕府が倒れ、お城を必要としない新政府の意向で少しのお城を残して次々と取り壊されていきました。姫路城は存続されることになったものの、莫大な修繕費がかかるため競売にかけられます。そして市内の金物商、神戸(かんべ)清一郎氏が落札しますが、その額23円!現在の価格なら約10万円ほどだったそうです。しかし、存続の大変さから神戸氏はせっかくの権利を放棄してしまいました。そんなピンチを救ったのは陸軍であった中村大佐です。軍の費用で保存が出来るように大臣にかけあい、おかげで姫路城の存続が決定しました。
日本にある他の有名なお城
大阪城(大阪府)
天下統一を目指す豊臣秀吉によって築城されたお城。天守8階の展望台からは大阪の街が一望できます。石垣の規模が圧倒的で見ごたえがあります。
名古屋城(愛知県)
徳川家康によって建てられたお城。黄金の鯱(しゃち)を頂き、史上最大の延べ床面積を誇った大天守閣と豪華絢爛な本丸御殿が特徴です。
熊本城(熊本県)
築城の名手である加藤清正が完成させ、築城当時の最先端技術が注ぎ込まれたお城。2016年の熊本地震からの復興作業は現在も続いています。
まとめ
真っ白で完璧なまでに美しい姫路城。唯一無二の存在感を放ち、その堂々たる姿への称賛が絶えません。最近では多くの外国人観光客も訪れ、その魅力を世界中に広めています。日本の歴史や文化を感じることができる貴重な場所でもあり、訪れた人々の心にその艶やかな様子を深く刻みます。ぜひ一度訪れて、その価値を肌で感じてみてください。
よくある質問
姫路城ってどんなお城ですか?
日本で初めて世界遺産に登録され、白い漆喰で塗られた白壁が美しいことで有名な国宝のお城です。
周辺に駐車場はありますか?
近くに「大手門駐車場」「姫山駐車場」「大手前公園地下駐車場」などがあります。いずれも有料です。
姫路城の入城は何時ですか?
開城時間は9:00~17:00まで、入城は16:00までとなります。
車椅子での入城はできますか?
建物内は狭い階段のみですので車椅子の入場はできません。敷地内も坂と階段が多く、介助人が複数人必要と思われます。尚、車椅子の貸出は行っておりません。
ペットと一緒に入城できますか?
ケージなどに入れて姿がすっぽりと入る状態であれば可能です。カート、バギーの持ち込みはできません。インフォメーションセンターにて無料貸し出しのケージを用意しておりますが、数に限りがあります。
姫路城内の案内ガイドさんはいますか?
姫路城シルバー観光ガイドがおります。ガイド1名につき2000円です。電話予約も可能です(電話:079-288-4813)。外国人観光客向けには英語定時ガイドツアーがあります。10:00と13:00、先着10名で当日受付のみとなります(インフォメーションセンターにて)。