伏見稲荷大社
伏見稲荷大社(ふしみいなりたいしゃ)は朱塗りの美しい「千本鳥居」でお馴染みの神社です。全国に約3万社ある稲荷神社の総本宮として、全国各地から老若男女を問わず親しまれています。インスタ映えスポットとしても有名!ここではそんな伏見稲荷大社についてWiki風に紹介しながら、さらにユニークなエピソードを交えて詳しく解説していきます。
基本情報
伏見稲荷大社(Fushimi Inari-taisha)は、もとは農耕の神様として祀られていましたが、中世から近世にかけて「商売繁盛・家内安全の神」として広く信仰されるようになりました。参道に隙間なくトンネル状に立ち並ぶ朱色の鳥居、「千本鳥居」は海外からの観光客にも広く知られており、これを目当てに日本に来る人もいるほどです。
伏見稲荷大社の名前の由来は「稲が生った」という山城国風土記の記述に由来する、という説が最も有力です。稲荷大神様である「白虎(びゃっこ)」も神聖な動物として崇められており、境内のあちこちにある表情豊かな狐像も魅力です。
名称 | 伏見稲荷大社(ふしみいなりたいしゃ、Fushimi Inari-taisha) |
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所在地 | 京都市伏見区深草薮之内町68番地 |
創建 | 和銅年間(708年~715年) |
公式サイト |
歴史
従来は五穀豊穣を祀る神社として知られていましたが、武士や商人が戦勝祈願や商売繁盛の神様として信仰の対象としていったことから、江戸時代より庶民にも知られるようになりました。それではその歴史を見ていきましょう。
起源は奈良時代まで遡る
伏見稲荷大社の歴史が始まったとされているのは、平城京遷都が行われた翌年の711年(和銅4年)です。当時、この辺りの発展に貢献した渡来系の秦伊炉具(はたのいろぐ)が稲荷山にある三ヶ峰に神を祀ったことが始まりとされています。その後、長らくの不作から五穀豊穣に恵まれることとなり、最初は「農耕の神」として広まっていきました。
平安時代に栄えるも応仁の乱でほとんどが焼失
平安時代に入り、人気は加速し京都中の人々から崇拝されるようになりました。最高の格式「正一位(しょういちい)」の極位も与えられます。「枕草子」にも伏見稲荷大社が登場し、清少納言が参拝中に疲れて休憩した、という記述もあります。しかし1467年(応仁元年)に応人の乱が勃発し、甚大な被害を受けた京都で社殿もことごとく消滅しました。
商人により人気となる江戸時代
応仁の乱での焼失後、伏見城を築城した豊臣秀吉や全国各地からの寄付により再建されます。その後江戸幕府老中、田沼意次の影響で稲荷神を祀る習慣がひろがり、特に町人や商いの成功を祈る商人に人気となっていきました。この時代には千本鳥居の奉納が盛んに行われ、多くの参拝者が訪れるようになりました。
明治から現代まで
1868年(明治元年)、新政府軍の神仏分離・廃仏毀釈(仏教排斥運動のようなもの)により仏像などが廃され、境内の土地も減らされてしまいます。しかし、長年の政府との長い交渉の末、1962年(昭和37年)に元の敷地をすべて回復し、その後も多くの信仰を集め続けています。2011年(平成23年)に稲荷大神鎮座から1300年を迎えた伏見稲荷大社は、現在も多くの参拝者や国内外の観光客を魅了し続けています。
年間イベント
伏見稲荷大社では美しい京都を舞台に四季を通じて祭礼・神事が執り行われています。その中から主なイベントを紹介します。
歳旦祭(さいたんさい)
新年を祝い、国家の安泰と一年の無事平穏を祈るお祭りで、行事が終わると宮司以下の神職は境内にある各摂末社を巡り、社務所正庁の間で新年祝賀式を行います。
初午大祭(はつうまたいさい)
稲荷大神が稲荷山の三ヶ峰に初めて鎮座した和銅4年2月の初午の日をしのび、大神の神威を仰ぎ奉る祭です。福詣とも呼ばれ京洛で初春最初の祭事とされています。
稲荷祭(いなりさい)
稲荷大神が年に一度氏子区域を巡幸して広くご神徳を授ける、大社で最も重要な祭りです。5月3日の「還幸祭」まで氏子地域の御旅所に神輿が置かれます。
田植祭(たうえさい)
神前に捧げられるお米の稲苗を神田へ植える祭です。「御田舞」(田に関する神事芸能)が演奏される中、早乙女らによって田植えが行われます。
本宮祭(もとみやさい)
稲荷大神の分霊を祀る全国の崇敬者が本宮に参拝し、日々の御神恩に感謝する大きな祭です。宵宮には境内の提灯や灯籠に一斉に灯を入れる万灯神事が行われます。
火焚祭(ひたきさい)
「おひたきまつり」とも言われ、五穀豊穣の稲荷大神に感謝する祭です。社前に十数万本の火焚串を焚き上げ、万福招来などを祈ります。
大祓式(おおはらえしき)
「師走の大祓」と言われ、形代(かたしろ)を河海に流し、知らず知らずの内に犯している罪やけがれを祓い清める祭です。そして一年間無事に過ごせたことを感謝する除夜祭が行われ、新年を迎えます。
豆知識
それでは伏見稲荷大社に関する面白い知識をご紹介します。
鳥居は「千本鳥居」の他にもある?
伏見稲荷大社は京都の稲荷山全体が境内となっているので、実は非常に広大な敷地面積を持っています。本殿をくぐり有名な千本鳥居についたものの、「人出が絶えることなくゆっくり写真が撮れない!」とお嘆きの人に奥社奉拝所を起点にした「お山めぐり」コースをご紹介しましょう。石段と坂道を登っていくと、木々に囲まれた静かな自然とともに朱色の鳥居が続く参道があります。まさしく登山、といったところですが千本鳥居と遜色ない景色で、人も少なく落ち着いて鑑賞できます。体力に自信のある方にはおすすめの拝観コースです。
キツネが多く祀られているのはなぜ?
鳥居の次に多くみられるのは「キツネ」です。伏見稲荷大社ではキツネが神の使い、とされているからです。しかし、キツネは野生のキツネではなく、我々の願いを稲荷大神に伝えてくれる「霊狐(れいこ)」「白狐(びゃっこ)」であり人間の目には見えないものです。境内に複数あるキツネの像は穂、鍵、玉、巻物、などそれぞれ違うものを咥えており、皆稲荷大神ゆかりのあるものです。神社ではお馴染みの絵馬もなんとキツネ型!願い事と共にキツネの表情も書き込むことができる愛らしい絵馬となっています。
アクセス方法
伏見稲荷大社への行き方は以下の通りです。
電車の場合
JR奈良線 稲荷駅下車すぐ (京都駅から5分)
京阪本線 稲荷駅下車 東へ徒歩5分
市バスの場合
南5系統 稲荷大社前下車 東へ徒歩7分(京都駅から約24分)
車の場合
名神高速道路 京都南インターから約20分
阪神高速道路 上鳥羽出口から約10分
参拝者用の駐車場有り(無料)※ただし混雑しやすいので公共交通機関を推奨
周辺グルメ
京都のグルメは上品なお味とともに写真映えするものも多く、雰囲気あるシーンとともに楽しめます。スイーツ、ランチ、軽食、と見逃せないお店も周辺にたくさん!その一部をご紹介します。
雰囲気ある茶室でお抹茶を楽しみたいなら
「稲荷茶寮」の「稲荷パフェ」(1500円)
八島ヶ池ほとりの休憩所にあるカフェ。日本庭園を眺めながら過ごせるテラス席がおすすめです。マストのスイーツは「稲荷パフェ」。抹茶アイスをベースに朱色の鳥居をかたどったお菓子が可愛らしく乗せられており、写真映えもばっちりです。
住所:京都市伏見区藪ノ内町68 啼鳥庵
電話:(075)-286-3631 (水曜定休・予約不可)
小腹がすいたらココ
「祢ざめや(ねざめや)」の「いなり寿し」(7個 1050円)
1540年から続く歴史あるお店。お店の看板メニューは「いなり寿し」甘く炊いた油揚げに麻の実と胡麻が入ったご飯が詰められています。この麻の実と胡麻のカリッとした食感がいいアクセントになっておりテイクアウトでも大人気だとか。
住所:京都市伏見区深草稲荷御前町82-1
電話:(075)-641-0802
「稲福」の「うずらの姿焼き」(850円)
うずらやスズメの姿焼き(スズメの提供は時期による)が名物のお店。甘じょっぱいタレを付けて炭火で香ばしく焼き上げられたうずらに山椒の清涼感がよく合います。店前でも焼いているので、食べ歩きのお供にもおすすめです。
住所:京都市伏見区深草開土町2-4
電話:(075)-641-3696
ツキを呼ぶ!?色とりどりの豊かなごはん
「五木茶屋」の「京丼五種食べ比べ膳」(4000円)
風情漂う店構えで静かに落ち着いて食事を楽しみたいならここ。おすすめは旬の素材を中心に季節によって異なる丼が並んで出てくる「京丼五種食べ比べ膳」。見た目の鮮やかさと美しさは写真撮影必須!小鍋も並び、豪華すぎるボリュームです。
住所:京都市伏見区深草開土町20
電話:(075)-643-5217
京都生まれの牛カツで贅沢ランチ
「牛かつ京都 勝牛」の「黒毛和牛カツ京玉膳」(3289円)
国内はもちろん海外のお客様からも人気の京都らしさ溢れる牛カツ専門店。厳選した塊肉からこだわって切り出す「一枚肉」のこだわりと、適度にサシが入ったきめ細かな肉質が特徴です。店頭に飾ってある人力車で撮影もお忘れなく。
住所:京都市伏見区深草一ノ坪町38-13 リバーサイドハイツ1F
電話:(075)-748-8422
よくある質問
伏見稲荷退社の鳥居はなぜ「朱塗り」なのですか?
朱色は「魔力に対抗する色」として古代の宮殿や寺社仏閣に多く用いられており、稲荷大神様の力を高める色と言われているからです。又、朱の原財料は「水銀=丹」であることから、木の耐久度を高める防腐剤としての役割を担っていることも一つの理由です。
参拝時間は決まっていますか?空いている時間帯はいつごろですか?
参拝時間は24時間いつでも参拝可能となっています。社務所のお守りの授与は7:00から18:00、祈祷の対応時間は8:00から16:30です。近年は国内外からの観光客による混雑が尋常ではありません。ですので空いている時間は断言しにくいものの、早朝は人も少ないので千本鳥居で撮影するなら朝の早い時間がおすすめです。
千本鳥居は一般人でも奉納できますか?費用は?
一般の方も申込可能です。ただし、現在鳥居の奉納は「予約待ち状態」で、さらに鳥居を建てる場所が無いとの理由により一旦募集を締め切っております。費用は鳥居の大きさによって料金(初穂料)が違い、1番小さな5号(直径15cn)175,000円から1番大きい10号(直径30cm)1302,000円まで6種類あります。そして奉納する場所によっても料金が異なります。
着物、浴衣レンタル店は近くにありますか?
伏見稲荷大社近くに数店あります。又、京都駅周辺やショッピングモールの中にもレンタル店があります。着付けの他、ヘアメイクや撮影のオプションサービスも店によって実施されています。