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オーマイニュース

オーマイニュース(OhmyNews)は、韓国で2000年に創刊された市民参加型のニュースウェブサイトです。若者層を中心に支持を拡大し、インターネット新聞、デジタル・デモクラシーの成功例として世界中に注目されました。2006年から2009年までは日本語版も開設されていました。この記事では、このオーマイニュースについてWiki風に紹介しながら、その特徴を詳しく解説していきます。

竹本 北斗

最終更新日:
目次
オーマイニュース

基本情報

2000年2月に韓国国内で市民が気軽に参加できるニュースウェブサイトとして創刊されました。編集部にはフルタイム記者のほか、会社員や主婦、学生など幅広く4万人以上が会員(市民記者)として登録されており、重要な社会情勢から身近な話題に至るまで日に200本以上の記事が投稿されていました。大統領選では、与党候補ながら不利といわれた盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が逆転勝利したのもオーマイニュースの影響力が強く作用したと言われています。

従来のメディアとは異なり一般市民がニュースを投稿して評価するため、双方向性を持つことが大きな特徴で、デジタル・デモクラシーの成功例として世界的に注目されました。2006年には日本語版オーマイニュース(後にオーマイライフと名称変更)も創刊されたものの、2009年に経営難により閉鎖されました

🏢 会社名

オーマイニュース・インターナショナル株式会社

🏛️ 英文社名

OhmyNews International Corp.

🌏 本社所在地

〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-24-10 三興第一ビル

🤵 代表者

代表取締役  呉 連鎬 (オ・ヨンホ)

📆 設立

2006年3月7日

💴 資本金

1500万円

✅ 事業内容

「市民みなが記者だ」を合言葉とする市民参加型のインターネットニュースサイトの運営。

歴史

オーマイニュース ホームページ

オーマイニュース ホームページ

市民参加型ニュースメディアという発想は当時は画期的な試みであり、1日あたり200本以上もの記事が投稿されたこともありました。そんな「オーマイニュース」の歴史や内容を詳しくみていきましょう。

設立の経緯

2002年2月に韓国国内で市民が気軽に参加できるニュースウェブサイトとして、月刊誌『マル』記者を経験した呉連鎬(オ・ヨンホ)が中心となって設立。韓国では4万人以上の会員(市民記者)が登録し重要な社会情勢から身近な話題に至るまで、日に200本以上の記事が寄せられ、会員は主婦や会社員、学生など幅広い層から成り立っていました。

ソフトバンクと提携

2006年にはソフトバンクと提携して「オーマイニュース・インターナショナル株式会社」を設立、初代編集長にジャーナリストの鳥越俊太郎氏、副編集長には元・共同通信記者でジャーナリストの青木理氏が就任します。韓国以外では初めての市民参加型ニュースウェブサイトでした。市民記者も一般から広く募集をし、又、ソフトバンク社長の孫正義氏も自ら市民記者となって記事を投稿しました。稿しました。

オーマイライフ

2008年には市民参加型のインターネット新聞から、体験レポートと専門家情報を掲載する専門サイト「オーマイライフ」にコンセプトを変更、ブログの集合体のような体裁となって当初とは大きく形を変えてしまいました。その後鳥越編集長も任期満了と体調不良により辞任、閲覧低迷や広告収入の減少により経営困難となり、2009年4月24日に閉鎖されます

メンバー

会見で登壇した社長兼CEOの呉連鎬氏(右)と編集長の鳥越俊太郎氏(左)

会見で登壇した社長兼CEOの呉連鎬氏(右)と編集長の鳥越俊太郎氏(左)

写真は xtech.nikkei.com より

創設者:呉連鎬(オ・ヨンホ)

月刊誌「マル」元・記者

初代編集長:鳥越俊太郎(とりごえしゅんたろう)

ジャーナリスト、元・「サンデー毎日」編集長、テレビ朝日「ザ・スクープ」司会者

副編集長:青木理(あおきおさむ)

ジャーナリスト、元・共同通信記者、元・ソウル特派員、TVコメンテーター

編集長代理:元木昌彦(もときまさひこ)

元・「FRYDAY」「週刊現代」編集長

市民記者

オーマイニュースに記事を投稿するには「市民記者」への登録が必要です。登録料は無料で、募集サイトより行うことができます。年齢や職業に制限はなく、海外在住者も登録可能。住所氏名の他、報酬受取の為、銀行口座番号の入力が必要です。

編集局の作業を経てOhmyNewsに記事が掲載されると原稿料が支払われます。掲載場所によって以下のように原稿料が決められています。   

例:

  • トップ記事:2,000円
  • サブトップ記事:1,000円
  • ピックアップおよびその他の編集済み記事:300円

トピック

オーマイニュースでは多様なジャンルにおける投稿があり、どのような人々にも関心がある話題を見やすく掲載しています。

主なジャンル:

  • サイエンス
  • 社会
  • 経済
  • エンターテイメント
  • 政治
  • 国際
  • 生活
  • スポーツ
  • ニュースのたね(市民記者から寄せられた記事を編集ナシでそのまま掲載するコーナーのこと)

ブログ

オーマイニュース ブログ

オーマイニュース ブログ

2006年8月の創刊に向けてオーマイニュース「開店準備中Blog」が2006年6月ごろまで開設されていました。編集局メンバーが創刊までの道のりを熱く語っています。創刊後はこちらのブログは更新されていないようです。

問い合わせ先

批評

オーマイニュースはネットユーザーなら誰でも記事を投稿できるようなシステムですので、時には誤った情報や偏った視点の記事が掲載されてしまう可能性もあります。専門性や客観性を低下させないよう、必要であれば記事の事実確認や裏取りも行うと初代編集長の鳥越氏はインタビューで語っています。

サイトの閉鎖に至った経緯

2006年に華々しくスタートしたものの徐々に閲覧数は低迷して広告収入も減り、2008年には早くも路線を変更して生活情報サイト「オーマイライフ」として再起を計ることとなってしまいました。それでもビジネスモデルを構築することは出来ず、サイトは2009年4月に閉鎖されます。

オーマイニュース日本版のサイトでは「世界的な経済状況の悪化によりサイトの閉鎖を決定した」と説明しましたが、市民記者の原稿料と対極にある編集部の高額報酬、編集部員らの考え方の相違やトップダウン式の運営、そして「炎上」などのトラブルが相次いだことも閉鎖に至った理由と考えられています

まとめ

創業当時、「市民参加型インターネット新聞」は韓国で画期的な試みでした。その勢いで日本でも創刊したものの、市民が意見を発表する場はインターネット上にブログ、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)、投稿サイト、地域密着サイトなど多数あったため、日本版オーマイニュースは利用者数、それと連動して生じる広告収益ともに伸び悩み、3年ほどで廃刊となります。政治的背景など日本と韓国とで様々な違いもあり、韓国の成功モデルをそのまま日本に持ち込むことは難しかったのかもしれませんね

よくある質問

オーマイニュースに関するよくある質問をまとめました。

オーマイニュースとは何ですか?

市民参加型インターネット新聞サイトのことです。登録した市民記者が、様々なジャンルの記事を投稿できる市民ジャーナリズムの一形態です。

オーマイニュース日本版はいつ創刊されましたか?

2006年8月に創刊されました。

オーマイニュース日本版はなぜ閉鎖に至ったのですか?

経営難により閉鎖されました。経営難の理由としては上層部の報酬の高さ、編集部員同士の考え方の違い、トップダウン式のやり方、等が原因とされています。

オーマイニュースのスローガンは?

「市民みなが記者だ」ということで、誰もが気軽に参加できることを掲げていました。

オーマイニュース日本版は誰が執筆していましたか?

市民記者を募集し、登録したユーザーが記事を投稿していました。編集局による手直し後に記事が掲載されました。その他、フリーライターの記事掲載もありました。

何人の記者がどのくらいの数の記事を書いていますか?

登録記者は4000人を超え(2008年当時)、30代が一番多く男女比はおよそ8対2。30代が31%で最も多く、20代と40代がそれぞれ23%、50代以上が20%、10代以下が2%です。毎日30〜40本の記事を掲載しています。又、毎日10本ヤフー・ジャパンに記事を送っています。