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全国花火競技大会「大曲の花火」

全国花火競技大会大曲の花火おおまがりのはなび)」は、毎年8月の最終土曜日に秋田県大仙市で開催される花火大会です。来場者数が70万人にのぼる大規模な大会であることに加え、夕方の早い時間帯から打ち上げられる「昼花火」が見られるのも、この「大曲の花火」ならではの特徴です。ここではそんな花火大会についての歴史や成り立ちを紹介しながら、見どころや行き方を詳しく解説していきます

山本 光代

目次
全国花火競技大会「大曲の花火」

基本情報

全国花火競技大会(All Japan Fireworks Competition)は、毎年8月の最終土曜日に開催される大規模な花火大会です。茨城県土浦市の「土浦全国花火競技大会」、新潟県長岡市の「長岡まつり大花火大会」とともに「日本三大花火大会」の一つとされています。開催地である大仙市が、かつて「大曲市」であったことや、茨城県土浦市にも同名の「全国花火競技大会」が存在したため、一般的に「大曲の花火(おおまがりのはなび)」という名称が広く浸透しました。

日本煙火協会が後援し、内閣総理大臣賞が授与される花火競技大会は、この大曲と土浦市の土浦全国花火競技大会の2つのみです。さらに現在、経済産業大臣賞・中小企業庁官賞・文部科学大臣賞・観光庁長官賞も授与されており、日本最高峰の花火競技大会となりました。競技は17時頃から始まる「昼花火の部」と、19時頃から始まる「夜花火の部」の2部構成です。競技会の合間にはテーマに合わせて大会提供花火やワイドスターマインが打ち上げられ、観客を魅了しています。

名称

全国花火競技大会「大曲の花火」(ぜんこくはなびびきょうぎたいかい・おおまがりのはなび)

開催場所

雄物川河川敷運動公園

主催者

大曲商工会議所・大仙市

開催時期

毎年8月最終土曜日

公式サイト

www.oomagari-hanabi.com

  • 昼花火の部

    昼花火の部

    昼花火の部

    写真は crea.bunshun.jp より

    5号玉(やや小さめの花火玉)5発で技を競う「昼花火の部」は、全国でも「大曲の花火」だけで行われています。昼花火の競技規定とは「煙竜」「煙柳」「割物」のいずれかを選択し、煙の色と形の総合美を競うもの。澄み切った青空に黄色や赤の煙が優雅に映える年もあれば、どんよりとした曇り空に水色が映える年もあり、花火師が描く「夕空に煙で描くアート」は、まさに貴重な瞬間です。

  • 夜花火の部

    「夜花火の部」では2つの10号玉(芯入り割物と自由玉)、そして創造花火の部門で競われます。10号玉では伝統的な花火と自由創造的な花火の技が競われ、創造花火ではその名のごとく従来の丸型の概念を破り、花火師たちの独自性を追求するものです。この創造花火の部は、大曲が全国で初めて取り入れました。

歴史

「大曲の花火」は、日本を代表する花火大会の一つとして、100年以上の歴史を誇ります。その歴史を詳しく見ていきましょう。

始まりは明治時代から

「大曲の花火」の歴史は、1910年(明治43年)に始まります。大仙市大曲地区にある諏訪神社の祭典での余興花火として、「第一回奥羽六県煙火共進会」が仙北新報(現・秋田民報)の主催により開催されました。そして、1915年(大正4年)には、より高いレベルの競技を目指し、大会名を「全国花火競技大会」に変更。規模も全国へと拡大していきました。

戦後の復興と知名度の向上

第二次世界大戦後、すぐに花火大会は復活。1959年(昭和34年)には、初めて女性の花火アナウンサーが登用されました。さらに、1964年(昭和39年)に創造花火が競技玉に加わり、1978年(昭和53年)には昼花火が競技種目に追加されました。1970年代後半から1980年代にかけてはドイツのボン、デュッセルドルフ、ベルリンでも花火が打ち上げられ、国際的にも知名度が上がっていきます。

平成以降の発展と国際的評価

1996年(平成8年)、「大曲の花火」の割物花火が秋田県の伝統的工芸品に指定されました。翌1997年(平成9年)に秋田新幹線が開通し、大曲駅にも乗り入れられるようになると、旅行業者等が大曲花火ツアーを多数企画して観客動員数もさらに増えていきます。2000年(平成12年)には、全国で初めて内閣勝利大臣賞の授与が行われ、その格式の高さが改めて認められました。2020年(令和2年)は新型コロナウイルスの影響により中止を余技なくされたものの翌年からは再開。2024年(令和6年)には、モントリオール国際花火競技大会で銅賞と特別賞を受賞し、国際的な評価をさらに高めました。

歴代受賞者

最高位の内閣総理大臣賞をはじめ、近年の全国花火競技大会における各賞の受賞者をご紹介します。

最高賞(内閣総理大臣賞)受賞者

  • 2014年(第88回) 茨城県 野村花火工業株式会社
  • 2015年(第89回) 静岡県 株式会社イケブン
  • 2016年(第90回) 茨城県 野村花火工業株式会社
  • 2017年(第91回) 茨城県 野村花火工業株式会社
  • 2018年(第92回) 群馬県 有限会社菊屋小幡花火店
  • 2019年(第93回) 茨城県 野村花火工業株式会社
  • 2022年(第94回) 山梨県 株式会社マルゴー
  • 2023年(第95回) 茨城県 野村花火工業株式会社
  • 2024年(第96回) 秋田県 株式会社小松煙火工業

創造花火部門優勝者

  • 2009年(第83回)『え!アフロでマンボ!?』(秋田県 (株)北日本花火興業)
  • 2010年(第84回)『世界中の子供たちへ〜メリークリスマス〜』(茨城県 (株)山崎煙火製造所)
  • 2011年(第85回)『今夜、どこかのBARで〜男と女の物語〜』(愛知県 (株)磯谷煙火店)
  • 2012年(第86回)『日本の花〜侘寂〜』(山梨県 (株)山内煙火店)
  • 2013年(第87回)『桜-世界へ届け日本の心-』(長野県 (株)紅屋青木煙火店)
  • 2014年(第88回)『Atlantis -海に眠る幻想の世界-』(長野県 (株)紅屋青木煙火店)
  • 2015年(第89回)『宇宙誕生!ビッグバン現象と華麗なる星々』(静岡県 (株)イケブン)
  • 2016年(第90回)『光の旋律』(茨城県 野村花火工業(株))
  • 2017年(第91回) 『水辺に集う蛍〜光を燈し・舞う〜』(長野県 (有)伊那火工堀内煙火店)
  • 2018年(第92回)『クリスタルオパール〜大地を照らす神秘の輝き〜』(秋田県 (株)小松煙火工業)

大会イメージマスコットキャラクター

大曲の花火では、2006年(平成18年)よりイメージマスコットキャラクターが起用されています。「花火の町・秋田」のシンボルとしても活躍中です。

つつどん  

打ち上げ筒がモチーフ。オヤジキャラをイメージしており、腰に腹巻をしている。身長約140cm・体重約40kg。

たまちゃん 

打ち上げ玉がモチーフ。設定上は赤ん坊をイメージしており、頭にリボンを身につけ、口におしゃぶりをしている。身長約30cm・体重約15kg。

はなちゃん 

キャラクター中、唯一人間の女の子(設定年齢は10歳前後?)がモチーフとなっている。口元の左側にあるホクロがトレードマーク。オーバーオール姿と浴衣姿の2種類が存在している。

大会放映について

[4K] 長岡花火 復興祈願フェニックス 5年間の集大成‼︎ 8ヶ所から撮影

大曲花火大会では、90年代よりテレビ中継が行われ、2010年からはラジオ中継が開始されました。 会場に足を運べなくても、これらの中継を毎年楽しみにしている人が多くいます。

テレビ中継

毎年、NHKの衛星放送(NHK-BS)が生中継を行っています。2011年からはNHK-BSプレミアムでハイビジョン生中継が開始され、2019年からはスーパーハイビジョンにも対応してNHK-BS8Kにて放送、5.1チャンネルデジタルサウンドを用いて映像だけではなく臨場感あふれる音も伝わる中継となりました。

ラジオ放送

地元の県域FM局であるFM秋田では、2010年は19:00〜21:00、2011年は18:30〜19:55に、それぞれ会場から生放送を実施しました。また、2014年からはTMO大曲のエフエムはなび(2015年開局のコミュニティFM)で、駐車場情報などを含む「終日全編生放送」を開始しています。

チケット情報

「大曲の花火」の有料観覧チケットは以下の通りです

プラチナペア席(定員2名)専用トイレ付

60,000円

デラックステーブル席(定員4名)

47,000円

テーブル席(定員4名)

34,000円

堤防席BOX席(定員4名)

30,000円

レジャーシート席(定員4名)

11,000円

ペア席(ベンチ)(定員2名)

12,000円

イス席(定員1名)

7,000円

カメラマン席 上段(定員1名)

20,000円

カメラマン席 中段(定員1名)

15,000円

カメラマン席 下段(定員1名)

10,000円

車椅子席(定員4名)障害者手帳要

26,000円

【注意事項】

カメラマン席はインターネット販売のみ。

観覧席券は小学生以上が必要。

小学生未満は保護者同伴に限り入場可。 小学生未満でも席が必要な場合は、観覧席券が必要。

駐車場チケットの販売はなし。

(ただし、実行委員会が管理する周辺公式駐車場の事前予約は可能。)

➡ 詳細はこちら:公式サイト

宿泊情報

大仙市大曲地区にはホテル、旅館、民宿がありますが数は多くありません。また、実行委員会による斡旋や情報提供は行っておりませんので、宿泊をともなう観覧を予定されている方は早めの手配をおすすめします

以下に、いくつかの宿泊施設をご紹介します

ホテル

大曲エンパイヤホテル

TEL: 0187-63-1131

ホテル

大曲グリーンホテル

TEL: 0187-86-3333

ホテル

リバーサイドホテル大曲

TEL: 0187-62-0115

ホテル

ホテル ルートイン大曲駅前

TEL: 0187-86-3511

ホテル

丸の内ホテル

TEL: 0187-63-4117

温泉ホテル

山の手ホテル

TEL: 0187-68-2001

旅 館

ホテル富士

TEL: 0187-62-0243

旅 館

月岡ホテル

TEL: 0187-62-2140

旅 館

旅館 大盛館

TEL: 0187-62-3145

旅 館

佐藤旅館

TEL: 0187-62-0371

旅 館

大原旅館

TEL: 0187-63-2640

旅 館

福寿旅館

TEL: 0187-63-1549

温泉旅館

玉川レジャーランド

TEL: 0187-62-4019

ホステル

大曲ユースホステル

TEL: 0187-65-3451

民泊

民泊 おりづる園

TEL: 0187-62-0589

農家民宿

農家民宿 季節の郷

TEL: 0187-86-5515

アクセス情報

大曲地域の道路概況

大曲地域の道路概況

全国花火競技大会「大曲の花火」は、秋田県大仙市の雄物川河川敷運動公園で開催されます。会場への行き方は以下の通りです。

電車の場合

JR秋田新幹線、奥羽本線大曲駅より徒歩約30分

※ 当日はJR秋田新幹線、田沢湖線、奥羽本線で臨時電車運行あり (~24:00前後まで)。

※JR東日本盛岡支社では「大曲の花火」にあわせて臨時列車を運転します。JR東日本ホームページから「鉄道・きっぷの予約」→「臨時列車」の順でご確認ください。

車の場合

秋田道大曲ICから約10分

※ 周辺駐車場は約19000台(有料・無料ともあり)。

バスの場合

運行なし

※ 会場周辺が専用通路となるため、当日は循環バスは運休、シャトルバスの運行もありません。

【大会期間中の周辺道路状況について】

大曲地域から秋田方面、角館方面など4方向へ向かう幹線道路はそれぞれ1ルートしかないため、 大曲花火大会の前後には毎年著しい渋滞が発生します

渋滞の発生時間帯

  • 花火大会前:午後3時頃から大会開始まで渋滞が発生します。
  • 花火大会後:大会終了後、一斉に帰路につくため、国道13号・105号ともに午前2~3時頃まで大規模な渋滞が続きます。

駐車場利用の注意点

  • 会場周辺の駐車場を利用した場合、大会終了後の通行規制により、24:00まで退場できません。
  • 帰宅を急ぐ場合は、会場から少し離れた駐車場の利用を推奨しています。

サービスエリア情報

  • 大会終了後の夜に限り、錦秋湖サービスエリア(岩手県)のスナックコーナーと給油所が終夜営業しています。

年間スポンサー企業情報

花火大会の開催には多くの協賛と支援が欠かせません。「大曲の花火」も、多くの協賛企業や団体の協力によって支えられています。ここでは、協賛している企業・団体の一部をご紹介します

  • 東日本旅客鉄道(株)秋田支社
  • 大和証券(株)
  • 秋田エプソン(株)
  • TDK(株)
  • エイブリック(株)
  • (株)大仙バイオマスエナジー
  • (株)レッドクリフ
  • (株)交通建設

2025年の開催情報

2025年の開催情報

2025年の開催情報

2025年第97回全国花火競技大会「大曲の花火」の開催情報は以下の通りです。

開催日:2025年8月30日(土)

  • 昼花火の部: 17:10開始
  • 夜花火の部: 18:50開始

チケットについて

  • 6月よりインターネット販売開始
  • 7月より商工会議所にて直接販売

旅行ツアーについて

旅行会社では、交通と宿泊がセットになった花火観覧ツアーの販売がすでに開始されています。

大曲花火のとっておき情報

大曲花火に関する、知っておいてお得な情報をお知らせします。

おすすめの観覧場所・穴場スポットは?

雄物川左岸の一部は立ち入り禁止区域になっており、右岸の河川敷はすべて有料席 です。しかし、それ以外にも花火が見えるスポットが左岸・右岸の両方にあります。

一部をご紹介しますと、右岸側のおすすめスポットは、丸子川周辺河川敷(大曲駅から徒歩約12分)。特に八幡神社付近の河川敷では、花火を正面から楽しむことができます。また、左岸側のおすすめスポットは、姫神公園(大仙市の市街地を一望できる公園)。打ち上げ場所から少し距離がありますが、花火の全景を見渡せるため、写真撮影に絶好の場所です。

日本で開催される他の有名花火大会

美しい四季がある日本では、各都道府県の特長を活かした多彩な花火大会が開催されています。ここでは、「大曲の花火」以外の主な花火大会をご紹介します

  • 土浦全国花火競技大会(茨城県・土浦市)

    毎年11月、秋に茨城県土浦市で開催される花火競技大会です。都市圏の開催で参加しやすく、また、全国の花火業者が技術の向上を目指して目標にする花火大会となっています。

  • 長岡まつり花火大会(新潟県・長岡市)

    毎年8月1日から3日にかけて開催される「長岡まつり」の期間中に行われる、大規模な花火大会です。この花火大会は、戦争や自然災害の慰霊・復興を祈念する意味が強いものとなっています。

  • 隅田川花火大会(東京都・浅草)

    毎年7月の最終土曜日、隅田川の河川敷で開催される花火大会です。8月に開催される江戸川区花火大会と並び、東京二大花火の一つとして夏の風物詩となっています。

まとめ

100年以上の歴史を誇る、全国花火競技大会「大曲の花火」は、花火師たちにとって最高の目標です。そして、人々が一生に一度は訪れたいと思うほど、その魅力は絶えることなく夜空を彩り続けています。2025年も例年通り、8月最終土曜日に開催が決定しました。秋田県の豊かな自然と美しい花火のコラボレーション、今からもう待ちきれません。

よくある質問

全国花火競技大会「大曲の花火」に関するよくある質問をまとめました。

全国花火競技大会とはどんな大会なのですか?

一般的には「大曲の花火」と呼ばれ、選抜された花火業者28社が3部門の総合評価によって総合優勝(内閣総理大臣賞)を競う花火大会です。

大曲花火大会はどこで開催されていますか?

秋田県大仙市の雄物川(おものがわ)河川敷運動公園にて開催されています。

他の国でもこのような花火大会はありますか?

アメリカ、カナダ、オランダなどでも花火競技大会が開催されています。2024年はカナダ・モントリオール国際花火競技大会に「大曲の花火」が参加し、銅賞と特別賞を受賞しました。

大曲花火大会のチケット価格は?

イス席7000円からプラチナペア席60000円まで、用途に応じた様々なチケット体系になっています。

雨天決行ですか?

大会は雨天決行です。ただし、観客の安全が確保できないほどの悪天候の場合は延期になります。

全国花火競技大会「大曲の花火」に行く価値はありますか?

はい、もちろんです!職人の技が光る魅力的な花火は見ごたえ十分。4時間を超える豪華で壮大な大会はここでしか味わえないでしょう。「昼花火」の開催があるのも大曲の花火だけ。貴重な体験ができること間違いなしです。

モントリオール国際花火競技大会とは?

モントリオール国際花火競技大会は、世界中から選出された花火会社が週替りで打ち上げを行い、期間中、約300万人の観客が訪れる世界で最も権威のある花火競技大会です。2024年には「大曲の花火」がエントリーし、8月1日に競技大会としての結果が発表され、Bronze Jupiter(銅賞)と、Special Jupiter(特別賞)を受賞しました