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神田祭

神田祭かんだまつり)は東京の神田明神で行われるお祭りです。京都の祇園祭、大阪の天神祭とともに日本の三大祭りの1つとして有名で、別名「天下祭」とも呼ばれています。ここではそんな神田祭についての歴史や成り立ちを紹介しながら、見どころや行き方を詳しく解説していきます。

竹本 北斗

目次
Kanda Matsuri

神田祭

基本情報

神田祭Kanda Matsuriは東京都千代田区にある神社「神田明神」で行われる祭礼です。江戸時代から続くと言われており、例年30万人以上が訪れます。その歴史の深さと規模の大きさから、京都府・八坂神社の「祇園祭」、大阪府・大阪天満宮の「天神祭」とともに「日本三大祭り」と呼ばれており、また、都内では深川にある富岡八幡宮の「深川八幡祭」、赤坂にある日枝神社の「山王祭」とともに「江戸三大祭り」の一つともされています。

神田祭は神田明神と氏子(うじこ)108町会が取り仕切り、奇数の年に「本祭(ほんまつり)」、偶数の年に「陰祭(かげまつり)」を開催。メインとなる本祭では、平安時代の装束をまとった500人ほどの行進「神幸祭(しんこうさい)」や、大小約200もの町神輿が神社を目指して練り歩く「神輿宮入(みこしみやいり)」が行われます。

名称

神田祭(かんだまつり、Kanda Matsuri)

開催場所

神田明神、中央区日本橋一帯、千代田区神田一帯

主催者

神田明神

開催時期

5月(隔年)

公式サイト

https://www.kandamyoujin.or.jp(神田明神)

https://www.kandamyoujin.or.jp/kandamatsuri/(神田祭特設サイト)

歴史

神田祭は、長い歴史を持つ日本の文化的行事の一つです。その歴史を時代ごとに詳しく見ていきましょう。

江戸時代

江戸時代

江戸時代の神田祭

写真は www.kandamyoujin.or.jp/kandamatsuri/ より

神田祭が最も盛大に行われるようになったのは江戸時代です。1600年の関ヶ原の戦いに勝利した後、徳川家康は江戸に幕府を開き、神田明神を幕府の守護神としました。これにより、神田祭は江戸の町民文化を象徴する一大行事となり、江戸三大祭りの一つとして位置づけられるようになりました。特に、将軍が神田祭を見物する「御成り行列」は、江戸の市民にとって一大イベントで、江戸全体が祭り一色に染まりました。この時期の神田祭では神輿や山車が町中を巡行し、豪華絢爛な光景が繰り広げられました。

明治〜昭和

明治時代に入ると神田明神は神田神社と改名されましたが、祭りの盛大さは引き続き保たれました。明治20年には40本の山車が出されるなど、依然として大規模な祭礼が行われていました。しかし、近代化が進む中で電線の架設が進み、山車の出番は減少、神輿が祭礼の中心となっていきました。大正時代には神輿が氏子町を巡る渡御祭へと変遷し、戦時中の一時中断を経て、戦後には復興の象徴として再び盛大に開催されるようになりました。

平成〜現代

平成に入ると神田祭の歴史を振り返る動きが進み、「附け祭」が復活。新たなキャラクターや行列も加わり、古き良き文化と新しい表現が共存する祭りへと進化します。現代の神田祭は伝統的な神事と共に、多くの観光客を引きつけるイベントとしても知られ、インターネットでの生中継も行われるようになっています。2年に1度の奇数年に行われる「本祭」では、神田、日本橋、丸の内、大手町など広範囲にわたるエリアで数百基もの神輿が一斉に担がれ、地元住民と観光客の間で一体感が生まれます。神田祭は時代と共にその姿を変えながら、地域の絆を強めつつ、江戸の文化を現代に伝える重要な祭りとして今も盛大に行われています。

見どころ 

神田祭は江戸の伝統文化を体感できるお祭りです。見どころはなんといっても本祭の神輿宮入と神幸祭。ここでは、その2つの注目ポイントについて詳しく解説します。

見どころ その①f(みこしみやいり)

神輿宮入は神田祭のハイライト氏子108町会の大小200を超える神輿が町を練り歩き、神田明神に次々と宮入します。それぞれの神輿は町会ごとに異なるデザインや装飾が施されており、地域ごとの個性が表現されています。朝から晩まで続くこの行事は、祭り全体のクライマックスとして知られています。

神輿宮入は神田祭のハイライト

神輿宮入は神田祭のハイライト

写真は kandamatsuri.ch より
  • 神輿宮入の流れ

    神輿宮入は早朝から始まり、神田、日本橋、大手町、秋葉原といった広範囲にわたるエリアで神輿が町を練り歩きます。担ぎ手たちは「わっしょい!わっしょい!」という掛け声を上げながら重い神輿を力強く担ぎ、町中を巡行します。特に、神輿が街中を通る際には沿道の観客が一体となり、その熱気に包まれます。

  • 注目ポイント

    神輿宮入の見せ場は各町会が誇りをかけて競うように神輿を担ぐ姿です。特に大きな神輿では数十人から百人以上の担ぎ手が力を合わせて運び、その迫力と一体感は圧巻。神輿が町中を巡る間、沿道には多くの観客が詰めかけ町全体が祭り一色に染まります。神輿が神田明神に到着し、宮入りの瞬間には境内が特に盛り上がります。神輿が一基ずつ宮入りし神職が祝詞を挙げて無事の到着を祝います。この宮入りの様子は担ぎ手たちの努力の結晶であり、神田明神への奉納として最も神聖な瞬間となります。

  • 神輿の種類

    神輿は大小様々で、特に注目されるのが「千貫神輿」です。この神輿は特に重く、担ぐのに相当な力と技術が必要です。また、女性だけで担ぐ「女神輿」も神輿宮入の際には注目の的。女性たちが力強く神輿を担ぐ姿は多くの観客に感動を与えます。

  • 終日続くイベント

    神輿宮入は朝から晩まで続き、町全体が祭りの熱気に包まれます。昼間は神田、日本橋、秋葉原といったエリアでの巡行がメインですが、夕方から夜にかけては次々と神田明神に神輿が集まり、境内が最高潮の賑わいを見せます。

  • 祭りの終焉

    神輿宮入の最後には最も大きな江戸神社千貫神輿が宮入りし、これをもって神田祭のクライマックスを迎えます。この瞬間、担ぎ手たちは一斉に力を振り絞り最後のエネルギーを使い切ります。観客もその熱気に包まれ、祭りの終焉を惜しみながらもその盛り上がりを堪能します。

神輿宮入は神田祭の一連の行事の中でも最も壮観で感動的な瞬間であり、神田祭の真髄とも言えるイベントです。この行事を通じて、地域の絆や伝統が受け継がれ、次世代に引き継がれていく様子を体感できるでしょう。

見どころ その② 神幸祭(しんこうさい)

神幸祭は神田祭の中でも特に華やかで歴史的な行事であり、平安時代の装束を身にまとった大行列が東京の主要なエリアを巡行する姿は圧巻です。この行事は神田明神の祭神である3柱大黒天、恵比寿天、平将門命)がそれぞれの鳳輦(ほうれん)に乗り、神田、日本橋、大手町、丸の内、秋葉原などを巡ります。行列には豪華な装束をまとった神職や武士、さらに獅子舞や山車(だし)などが加わり、見応えのあるイベントとして知られています。

神幸祭

  • 神幸祭の流れ

    神幸祭は神田明神を出発点に、東京の歴史的な地域を巡行する形で行われます。平安時代の衣装を身にまとった参加者たちがゆっくりとしたペースで町を練り歩き、現代の街並みに古の日本の風情が溶け込む様子は非常に印象的。行列には各町内会の代表者や神職、鳳輦を運ぶ役人たちが参加し、厳かな雰囲気の中で進行します。

  • 注目ポイント

    神幸祭で注目すべき点は、何と言ってもその華やかな装束と歴史的な装飾。行列を彩る山車の中でも、大鯰(おおなまず)酒呑童子(しゅてんどうじ)などの巨大な山車は特に目を引きます。これらの山車は地域ごとに異なるテーマで彩られており、それぞれの町内会が誇りをかけて製作したものです。また、行列に参加する人々が身にまとう平安時代の衣装は細部までこだわって再現されており、まるで時代を遡ったかのような光景が広がります。特に鳳輦に乗った祭神たちが町を巡る姿は、神聖で荘厳な雰囲気を漂わせ観客を圧倒します。

  • 巡行ルート

    神幸祭の行列は、神田、日本橋、大手町、丸の内、秋葉原といった東京の主要エリアを巡行。これらのエリアは歴史的に重要な場所であり、神幸祭が通過することでその地域の伝統と文化が改めてクローズアップされます。行列は約20キロにも及び一日がかりで行われるため、観覧する際にはルート案内図を確認しながら移動するのがおすすめです。

  • 終着点と儀式

    巡行が終わると行列は再び神田明神に戻ります。神社に到着した後、神職による厳かな儀式が行われ神幸祭の終了が宣言されます。この儀式は神々が町を無事に巡行したことを祝うとともに、町に繁栄と平安がもたらされることを祈念するものです。

神幸祭は神田祭全体の中でも特に重要な位置を占めており、その華やかさと伝統の重みから、毎年多くの観光客を引きつけています。神田祭の幕開けとして行われるこの行事は祭り全体の雰囲気を決定づけるもので、歴史と伝統が息づく神田祭の象徴的な行事です。

開催日程

次回の本祭は2025年5月ごろに開催予定です

アクセス方法

アクセス方法

アクセスマップ

神田祭への行き方は以下の通りです。

JRの場合

中央線・総武線   御茶ノ水駅(聖橋口)より徒歩5分

京浜東北線・山手線 秋葉原駅(電気街口)より徒歩7分

メトロの場合

東京メトロ丸ノ内線 御茶ノ水駅(1番口)より徒歩5分

東京メトロ千代田線 新御茶ノ水駅(B1出入口)より徒歩5分

東京メトロ銀座線  末広町駅 より徒歩5分

東京メトロ日比谷線 秋葉原駅 より徒歩7分

都バスの場合

茶51駒込駅南口←→御茶ノ水線 神田明神徒歩1分

車の場合

首都高速都心環状線 神田橋出入口

首都高速1号上野線 上野出入口

神社北側に参拝者駐車場、神社より徒歩約5分のところに秋葉原UDXパーキング秋葉原ダイビル駐車場があります。

関連施設

豆知識

それでは神田祭と神田明神に関する面白い知識を4つご紹介します。

神田祭はなんで天下祭と呼ばれるの?

神田明神は江戸時代、徳川家康が他の武将との戦の前に必ず家来にここで戦勝を祈らせた、ということから江戸総鎮守として信仰を集めました。神田祭が天下祭と呼ばれる理由は、江戸城の内曲輪内まで神輿や山車が練りこむ大規模な行列が行われ、徳川将軍や御台所の上覧があったことにあります

神田明神と成田山新勝寺は同じ日にお参りしちゃダメなの?

成田山新勝寺は平将門の討伐を祈願した寺院であり、一方、神田明神はその平将門を祭神として祀る神社です。歴史的に対立する立場にあったため、両方を同時に参拝することは相反するものを扱うことになり、神仏に対して不敬とされることがあります。そのため、成田山新勝寺と神田明神を一緒にお参りすることは控えるべきとされています。 

神田明神はアニメとコラボしてる?

神田明神はアニメやゲームとのコラボレーションでも知られています。特に有名なのは、「ラブライブ!」という人気アニメとのコラボ。コラボ後はファンたちが聖地巡礼として神田明神を訪れるようになりました。

神田明神にはITお守りがある?

神田明神にはITお守り

神田明神にはITお守り

神田明神は伝統的な神社でありながら現代のニーズにも対応しており、IT関係者に人気の「ITお守り」があります。このお守りは、パソコンやスマートフォンに貼って使うもので、情報技術の発展と安全を祈願するもの。IT企業やプログラマーの間で特に人気です。

よくある質問

神田祭はいつ開催されますか?

神田祭は毎年5月15日頃に行なわれます。奇数年には「本祭」として盛大に行われ、偶数年には「陰祭」として規模を縮小して開催されます。一般的に「2年に1回」と言われているのは本祭りのことを指しているからです。

神田祭の神輿宮入はどこで見るのがおすすめですか?

神輿宮入は神田明神での宮入りがクライマックスとなるため、神田明神の境内やその周辺が一番の観覧ポイントです。朝から晩まで続く神輿の宮入りは迫力があり、特に夕方から夜にかけては多くの神輿が一斉に宮入するため、見ごたえがあります。

神田祭には屋台や出店がありますか?

神田祭の期間中、神田明神やその周辺には多くの屋台や出店が並びます。たこ焼き、お好み焼き、焼きそば、たい焼きなどの定番メニューをはじめ、射的や金魚すくいなど、昔ながらの祭りの遊びが楽しめる出店もたくさんあります。

神田祭の交通規制はありますか?

神田祭の期間中、特に神輿宮入や神幸祭の際には、神田、日本橋、秋葉原などのエリアで交通規制が行われます。主要な道路が封鎖されたり、一方通行になることがあるため車での移動は難しくなります。交通規制の詳細は、神田明神の公式サイトや地域の案内で確認できます。