セルビア・ディナール

セルビア・ディナール（RSD、DIN）はセルビアの公式通貨で、国内でのみ使用される。基軸通貨および自由兌換通貨のリストには含まれていない。

歴史

セルビア・ディナールは、中世、オスマン帝国時代、ドイツ占領時代、ユーゴスラビア、そして現代のディナールという5段階の歴史を持つ通貨である。

中世のディナールが初めて言及されたのは13世紀の文献である。それはベネチアの銀貨であるグロッソによく似ていた。銀の採掘はセルビアで始まり、コインの鋳造と輸出が開始された。

ディナール」という名称は、古代ビザンチンで金融取引に使われた銀貨、ローマ・デナリウスに由来する。

オスマン・トルコのディナールは、同国がバルカン半島を征服した1459年に流通が始まった。ディナールはセルビア独立までの400年間使用された。しかし、オスマン・トルコ支配下の決済手段はディナールだけではなかった。ディナールとともにパラという端数硬貨も存在し、その名称は現在に至っている。実際、現代セルビアの端数硬貨としてのパラは流通を停止している。

独立後、セルビア公国はグロートと呼ばれる最初の銀貨を手に入れた。これは、外国の金貨、銀貨、青銅貨43枚に対する独自の為替レートを持つ金融システム全体であった。

1868年、1875年、1879年には、セルビア公ミハイロ・オブレノヴィッチ3世が青銅貨、銀貨、金貨を導入した。この時期、公国はヨーロッパ諸国の通貨制度の統一を目的として設立された国際金融組織であるラテン通貨同盟に加盟しました。1876年、ディナール紙幣が登場しました。

1918年、セルビア・クロアチア・スロベニア王国という名の新しい国が世界地図に登場した。その2年後、ユーゴスラビア・ディナールという公式通貨が登場した。これは硬貨ではなく、10、100、1,000ディナールの紙幣であった。オーストリアの紙幣を基に作られたユーゴスラビア・クローネも流通していた。

再発行は、王国がユーゴスラビアという新しい名称になった後に行われた。新デザインの紙幣は1929年に10ディナールと100ディナールで発行されました。1931年と1935年にも1,000ディナールと500ディナールの紙幣が発行されました。

1941年から1944年まで、セルビアはミラン・ネディッチによる共産主義政権下にありました。セルビア・ディナールが導入され、ライヒスマルクとの交換レートは1対1となった。数種類の硬貨も鋳造された。

1944年、バルカン半島の占領解除後、ユーゴスラビア王国に代わってユーゴスラビア連邦共和国という新しい国が成立した。新国が誕生したのはわずか2、3ヶ月のことだったが、1ディナールから1,000ディナールまでの公式通貨を発行することができた。

1946年、バルカン半島にユーゴスラビア連邦人民共和国が誕生し、50ディナールから1,000ディナールまでの紙幣が導入された。その後、1950年には最大額面の5,000ディナール紙幣が発行された。また、50パラ、1ディナール、2ディナールの亜鉛とアルミニウムの端数硬貨の造幣局を開発しました。1955年には、10ディナール、20ディナール、50ディナールのアルミニウム硬貨が発行されました。

1963年に国名がユーゴスラビア社会主義連邦共和国に変更されると、硬貨は裏面にフルネームで鋳造されるようになった。ただし、50パラの端数硬貨だけは例外であった。

1966年、ユーゴスラビアの貨幣は5ディナールから100ディナールまで印刷され、4年後には500ディナール紙幣が発売された。1974年、政府は20ディナール紙幣と1,000ディナール紙幣を導入した。

1965年以降、硬貨の銘文には2つの言語が使用され、1970年には、1、2、5、10ディナールの額面について、すでに4つの言語による銘文があった。その他のシリーズは1982年、1985年、1988年に発売された1、2、5、10、20、50、100ディナール硬貨である。

10ディナールから100ディナールの硬貨と、ヨシップ・ブロズ・チトーの肖像が描かれた5,000ディナールの紙幣（1985年）である。その後、2万、5万、10万、50万、100万、200万ディナールの紙幣も発行されました。

1990年、ユーゴスラビアの公式通貨は、解体を背景にインフレが進行したため、デノミが行われた。為替レートは1:10,000でした。

1994年、最初の新ディナールシリーズが登場したが、これによって解体国の通貨がインフレから抑止されることはなかった。1992年に1:10、1993年に1:1,000,000と、過去3年間に2回しか行われなかったデノミネーションが、1994年には一度に2回行われた。1:1,000,000,000と1:10,000,000,000の通貨切り下げである。その間、セルビアとモンテネグロを除くほぼすべての国がユーゴスラビアから分離独立した。

その結果、マケドニアではマケドニア・デナール、クロアチアとセルビア・クラジナではクロアチア・クーナ、スロベニアとモンテネグロではユーロ、ボスニア・ヘルツェゴビナとスルプスカ共和国では兌換マルクが導入された。

米ドルにペッグされた新しいセルビア・ディナールは、急落を続けたが、それほど迅速ではなかった。2006年から2018年の間に、その為替レートは60.5:1から104:1に減少した。

新しいセルビア・ディナールのデザイン

通貨はセルビア国立銀行が発行している。現在、10、20、50、100、200、500、1,000、2,000、5,000ディナールの紙幣が流通している。最新のシリーズは2011年に発売され、セルビア人は2000年と2002年の旧ヨゴスラビアとほぼ同じデザインの紙幣を手に入れた。

1セルビア・ディナールは100クナに分割されているが、これらの硬貨はかなり前に流通から撤退している。決済取引にはディナールのみが使用されている。

• 10ディナールは131mm×62mmの黄色の紙幣。表面にはデノミと言語学者ヴク・ステファノヴィッチ・カラジッチの肖像、裏面にはデノミと彼の全身像とセルビアのアルファベットが描かれています。
• 20ディナールは緑色の紙幣です。サイズは135mm×65mmで、表面には額面とペタル2世ペトロヴィッチ・ニェゴシュ（セルビアの統治者の一人）の肖像、裏面にはロヴチェン国立公園内にある彼の霊廟が描かれています。
• 50ディナールは139mm×66mmの紫色の紙幣です。表面にデノミネーションとステヴァン・ストヤノヴィッチ・モクラニャックの肖像、裏面にデノミネーションとヴァイオリンが描かれています。
• 100ディナールは青色の紙幣で、サイズは143mm×68mm。表面にはセルビアの伝説的発明家ニコラ・テスラ、裏面には彼の発明の一つが描かれています。
• 200ディナールは147mm×70mmの茶色の紙幣です。表面に画家のナデジュダ・ペトロヴィッチ、裏面にグラチャニツァ修道院が描かれている。
• 500ディナールは147mm×70mmの薄緑色の紙幣。表面に科学者ヨヴァン・チビッチの肖像、裏面にセルビアの国章が描かれています。
• 1,000ディナールは151mm×72mmの赤色の紙幣。表面にセルビア国立銀行総裁Đorđe Vajfertの肖像、裏面に同銀行の本館が描かれています。
• 2,000ディナールは茶色とグレーの紙幣で、サイズは155mm×74mm。裏面にはミルチン・ミランコヴィッチ氏の絵が描かれています。
• 5,000ディナールは紫と緑の紙幣で、表面にスロボダン・ヨバノビッチの肖像、裏面にセルビア科学アカデミーと国会議事堂の装飾が描かれています。

国内では1～20ディナールの硬貨も流通している。鋼鉄、亜鉛メッキ、メッキ銅、青銅など、さまざまな合金でできている。

1ディナール硬貨の裏面には国立銀行、2ディナール硬貨にはグラチャニツァ修道院、5ディナール硬貨にはクルシェドル修道院が描かれている。10ディナール硬貨には2種類のバリエーションがあり、ストゥデニツァ修道院または第25回夏季ユニバーシアード大会が描かれています。

20ディナール硬貨にもさまざまなデザインがあり、ニコラ・テスラ、ミルチン・ミランコヴィッチ、ドルジェ・ヴァイフェルト、イヴォ・アンドリッチ、ミハイロ・プピンの肖像が描かれています。

世界のセルビア・ディナール

セルビアの通貨は、国内のインフレ率によって為替レートが変動する。セルビア・ディナールは証券取引所での取引には使用されず、為替レート差に関連した操作には適していない。

よくある質問